第661話

みんなが馬車を降りて戦いを始めた。


わたしも馬車を降りて、辺りを見回す。


グリフォンを涎を垂らしながら相手しているミミウや、サイクロプスと力比べしているアレカンドロ。

それとマンティコアをスライスしているリルがいる。


わたしもパーティとしてモンスターを退治しないと。


すると後方から歩いてくる人型のモンスターが目に入った。


人型と言うことはゴブリンやオークの上位種だろうか?


すぐに討伐すべくモンスターの方に向かった。


モンスターはキョロキョロしていて顔がよく見えない。


まあ顔なんて見えなくても問題ない。


殴ってしまえばどのモンスターかわかるでしょ。


そう思い、モンスターに駆け寄る。


スキル【魔闘士】を使い、拳に魔力と気を溜める。


そして殴りかかった時にモンスターが声を発した。


「貴様ら!このゴヤ様の侵攻を妨げようとはいい度胸だな!俺様が相手して‥ぐぼっ!」


「あっごめんなさい!モンスターと思って殴っちゃった!」


その人が声を発した瞬間にはもう殴りかかっていたから止まらなかった。


死角から飛び込んだので、相手にもわからなかったらしい。


でもよくよく考えればモンスターと一緒にいるなんて魔族以外いないはず。


そう思い、自分が殴り倒した魔族に向かって声を上げる。


「そ、そこまでよ魔族!これ以上好き勝手させないわっ!」


とりあえず魔族じゃなければ謝ればいいだろう。


吹っ飛ばした男は立ち上がって声をあげる。


「き、きしゃま!な、なにゅものだ!」


何言ってるかわからないけど、男の目は真っ赤に染まっていた。



うわぁ‥


頬が溶けかけてる‥

よかった魔族で。


トールルズの人だったりしたらポーション渡して平謝りだったわ。


「そこまでよ魔族!トールルズは攻めさせないわよ!」


「ふ、ふ、ふざけるな!貴様らのような冒険者が数人来たところで、このモンスターの群れを防ぐ事が‥‥」


なんか言ってる魔族の目の前を、サイクロプスが飛んでいった。


どうやらアレカンドロに吹っ飛ばされたみたい。


でもやっぱり魔族って恐ろしいわね。

もう頬が治ろうとして肉が蠢いてる。


ちょっと気持ち悪いわね。


「な、な、なんなんだお前ら‥ここにいるのは高ランクのモンスターだぞ!そんな数人の冒険者でどうにか‥なるなんて‥」


まだかなりの数のモンスターがいるけど、アレカンドロとリルがどんどん討伐している。


敵が高ランクモンスターだけあって、アレカンドロなんかは傷を受けながら戦ってるみたいだけど、隠密して動いてるキリーエから傷を負うたびにポーションかけてもらって元気に戦ってる。


ミミウもスキル【精霊重士】で腕だけ精霊に強化してもらって、モンスターと戦ったり、倒したモンスターを拾い上げてキリーエに持って行ったりしていた。

ただ今は隅っこで焚き火の用意をしようとしている。

もう食べる気なんだろうか‥?


ちゃんと敵を倒して、手洗いうがいしてからじゃないと病気しちゃうから注意してこないと。


リルに関しては‥‥


「魔族みつけた」


魔族に向かって駆け出していた。


「な、な、なんだお前っ!お、お前は!?」


リルの姿を見て驚く魔族。


あれ?

リルの知り合いかな?


「魔族きる」


迫ってくるリルに驚き、後退りする魔族。


確かに抜き身の剣を持った女の人が迫ってきたら、わたしでも逃げるわ。


リルの剣が走る。


後退りしていた魔族は腰に下げていた剣を抜き、自分の前に立てる。


するとその剣にリルの剣がぶつかり、魔族は転がるように後ろに飛ばされた。


「ちっ、残念」


さ、さすがリル。

わかっていたけど、同胞でも全く容赦ないわね。


あれたまたま剣にぶつかった感じだったけど、あれがなかったら胴体生き別れしてたもん。


「ま、まさか剣神リルがここにいるだと?確か行方不明と聞いていたが、何故ここにいるのだ!?」


剣神リル?

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