第662話
「そんなのしらない。リルはリル」
リルはそう言ってゴヤに斬りかかる。
「くそっ!魔族で最高峰の剣士と言われている奴がなんでこんなところに!」
ゴヤはリルの攻撃を避けるために、モンスターの後ろに隠れる。
ゴヤが隠れたモンスターは真っ二つになったが、その隙に魔族は少し後ろの方に逃げる事に成功していた。
「くそっ!くそっ!なんでこんなところにあんな化け物がいやがる!ちっ、まあいい。剣神だろうが何だろうがまとめて倒してやる。」
リルから距離を取ったゴヤは他の魔族に声をかける。
「おい!剣神リルがいるぞ!しかも他種族に寝返った裏切り者としてだ!討ち取って手柄が欲しいやつはいないか!」
ゴヤが見渡すとリルの名前に尻込みしているのか、他の魔族たちは歩み出てこない。
そんな中1人の魔族がゴヤの元に出てきた。
「へぇ、剣神リルね。随分と強いんだってな。先生に散々言われたぜ。剣神リルには手を出すなってよ。でも俺もまだ十魔にはなってないが、魔族じゃ剣士として割と名を馳せてるんだ。是非相手してもらおうか?」
そう言って魔族は剣を抜いてリルの前に立つ。
「俺の剣の先生がお前とお前の爺さんには手を出すなって、耳にタコができるくらい言われたんだよ。でもよそこまで言われるとちょっかい出したくなるよな!」
「うるさい魔族きる」
「すまないジャレド。リルは俺と相性が悪い。少しの間抑えといてくれ‥」
そう言ってゴヤは魔族の剣士ジャレドにリルの相手を任せ、スキルの準備を始めた。
う〜ん、何か嫌な予感がするわね‥
あのゴヤってやつのスキルは使わせたら大変な事が起こりそうな気がする‥
すぐにゴヤのところに向かおうとすると、大型のモンスターが数体立ちはだかる。
「邪魔しないで!」
スキル【魔闘士】を使い、モンスターを各個撃破していく。
2体倒したところでゴヤの姿が見える。
すぐにゴヤに向かって駆け出す。
「ふん!もう遅い!『天地に蠢く悍ましき者。屍に宿り幾万の軍となり我を王とせよ!血塗られた死の契約!』」
やばい間に合わなかった!
ゴヤが使ったスキルが戦場に忍び寄る。
その時突然後ろから気配を感じた。
背後には何もいなかったはず。
いたのはついさっき倒したはずのモンスターだ。
後ろを振り向く。
すると倒したはずのモンスターが歪な状態で身体を起こし始めていた。
「ふはははっ!どうだ俺のスキル【死霊術士】は!これでお前たちがいくらモンスターを倒そうが、何度でも蘇るぞ!」
なんですって!?
周りを見渡すと、倒したはずのモンスターが身体を起こし始めていた。
倒したばかりのはずなのに、身体が腐敗している。
これも死霊術の影響なんだろうか?
で、でもこんな事したら‥
「おお!いいですな!何度でも戦えるなんて、戦士冥利に尽きますぞ!」
アレカンドロは平常運転だけど‥
「ああああっ!」
やっぱり‥
「お、お、お肉が!お肉が一気に腐ったですぅ!」
今まで一緒にいた中で初めて聞くミミウの大きな声だ‥
「そ、そんな‥これじゃ食べれないですぅ‥キリーエさん‥焼けば何とかなるですか?」
「ごめんミミウちゃん。これはもう無理やと思うわ‥」
「ううぅ‥何でこんな事になったですか?誰がこんな勿体ない事をしたですか!?」
いや、ミミウの食べる事前提が間違ってる気がするんだけど‥
「許さないですぅ!食べ物を無駄にするなんで、絶対許せないですぅ!」
モンスターもまさか食べられるとは思ってなかったと思うんだけど‥
あまり食べられるのも、生ける亡者にされるのも変わりないような気がするわ‥
「ミミウちゃん大丈夫や!何匹かはちゃんとうちの【ボックス】に入れとるで!」
キリーエがフォローしてるけど、ミミウの怒りは収まりそうにない‥
「絶対許さないですぅ!魔族さんも腐ったお肉さんもまとめてやっつけるですぅ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます