第663話
ミミウが怒っていた。
自分が食べようとして、せっせと集めていたモンスターのお肉が腐ってしまったから‥
モンスターも魔族もそんな理由で怒ってるなんて思いもしないだろう。
「ノームさん!力を貸してくださいですぅ!」
まあ怒る理由もわからないでもない。
せっかく美味しくお肉を食べようと思って、調理する準備をしていつの間にか調味料も用意して手も洗って、後はお肉を焼くだけってなってたのにそのお肉が急に腐ったのだ‥
あ、ごめんやっぱりわからない。
戦ってる最中に何やってるのよミミウ‥
でもそんな事関係なしにミミウの怒りは頂点に達していた。
食べ物の恨みは怖いってやつね!
ミミウの願いにノームたちが力を貸す。
でもこんな事に怒ってるミミウに力を貸すノームも困惑して‥なかった。
ノームも何故か怒ってる。
ミミウに力を貸すために何匹か出てきてるけど、そのうち数匹が地団駄踏んでる。
普段は見えないけど、ミミウが精霊を呼んだ時だけは見えるのよね‥
ミミウが怒ってるから一緒に怒ってるのかしら?
わたしが不思議そうな顔をしていると1匹のノームがわたしの方を向いて、ミミウの調理場と生ける亡者を交互に指差している。
わかったわよ。
あんたたちも食べ物で怒ってるのね‥
わたしに伝わったと思ったのか、ノームはミミウの方に駆けて行った。
なんなのよ一体。
一緒にいると、精霊は召喚者に似てくるのかしら?
「ノームさん!いくですよ!『召喚霊装:ノーム』!」
ミミウが召喚したノームを身に纏いだした。
また精霊と仲良くなったのか、結構な数の精霊がいる。
いち、に、さ‥あ、ミミウと一緒になったからわからなくなった‥
とにかくたくさんの精霊の力を借りたミミウは‥
巨大な兵器になった。
4本の巨大な脚前後に伸びている。
あれで移動するんだろう。
それに腕は2本の腕と、肩の後ろあたりから更にもう2本の腕がある。
でも肩から生えているのは手の形はしていない。
人で言う肘から先は槍と盾になっている。
ミミウは身体の胸の辺りに座るようにして乗っている。
そして頭部には何故かノームの顔が乗っている。
髭の生えた可愛い顔だ。
でも何で出来ているんだろう‥?
土というよりも何かの鉱石で出来てるようだ。
明らかに固そうだ。
そのミミウにまだ生きているモンスターが迫った。
あれはミノタウロスだろうか‥?
あれこそまさに牛肉よね。
キリーエが【ボックス】に入れれなかったグリフォンが腐ってアレカンドロに殴り倒されてるけど、あれはやっぱり猫科だわ。
ミノタウロスも大きく身体は3メートル以上あるけど、ミミウはそれを上回る大きさをしている。
10メートルまではないけど、ミノタウロスの2倍はあるわね‥
ミノタウロスがミミウの脚元を斧で斬りつけている。
でもその全てをミミウは盾で防いでいる。
ミノタウロスの斧は弾かれて、攻撃は通じていないみたい。
そのうちミノタウロスの身体がミミウの腕に掴まれて、肩からの槍で胸に穴を空けられた。
なにあれ?
強すぎじゃない‥?
ミノタウロスはそのまま地面に崩れ落ちた。
しかしミノタウロスは上から引っ張られるように身体を起こして、またミミウに攻撃を始めた。
もちろん傷は残ったままだが、関係なしに動いている。
あの魔族が使ったスキルは、ここら辺一体で倒れたモンスターをすぐにアンデッド化してるみたいね‥
「あーーーっ!牛さんがっ!こんな酷い事‥絶対に許さないですぅ!」
自分で倒したモンスターがアンデッド化した事にミミウはまた怒っていた。
「ミミウ!多分このスキルを使った魔族を倒したら戻ると思うわよ!」
「そうなんですか?アキーエさんありがとうですぅ!魔族さん覚悟してくださいです!」
スキルを使った魔族は姿を眩ませていたが、ミミウなら探し出すだろう。
巨人は戦場に暴力を振り撒きながら進んで行った‥
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