第68話

「自分のスキルは【剣闘士】ってスキルなんです。スキル自体出現者がいないみたいで、訓練するにしてもどうやっていいのかわからなくて。それで『獅子の立髪』の皆さんがどんなスキルでどんな訓練をしてきたのか参考にさせてもらえればと思ってるんです。」


そう言って俺は自分のスキルカードを見せる。


マルコイ

冒険者ランクC

スキル【剣匠Lv.1】【剣闘士Lv.4】


スキル【剣匠】を覚えた時にわかったのだが、スキルがトリプルになってからは2つ目以降のスキルが表示されなくなっていた。

実際は表示されてはいるのだか、基本的にダブルまでしか表に表示されないようで、トリプルになるとカードの裏側に表示されている。

今の俺のギルドカードは表は【剣闘士】【剣匠】が表示されており裏に【模倣】【鑑定】が表示されている。

そのため自分が手に持ったままであれば裏を見られる事はない。

そこで考えたのは自分からギルドカードを提示する事で相手にも違和感なく同じように提示してもらう事ができるのではないだろうかと思いついた。

懸念しているのは新しく統合したスキルから表示されるようで、模倣したスキルが統合すると表の表示が変わってしまう事だ。

パーティ同士が仲があまり良くないなら情報的には伝わらないだろうが、念のために統合する事ができたら、一旦中止するべきだろう。


「なるほどなぁ。でも私達のスキルが参考になるかわかんないぞ。それでもいいのか?」


アマンダはそう言いながらギルドカードを提示してくれた。


「私のスキルは【身体能力向上】と【強化】になる。だから常時発現スキルでもないしな。アムテル達の方がいいかもな。」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【身体能力上昇】【強化】を模倣しました。』


ヨシっ!

心の中でガッツポーズを取る。


するとアムテルさんとカリーンさんがギルドカードを出してくれる。


カリーンさんは【剛腕】だったな。進化前のスキルは【腕力】のはず。

系統進化したスキルでも模倣はできないよな。


「私も【剛腕】だから常時発現ではない。だからアムテルに聞いてくれるかな?」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【腕力】は統合しています。スキルを模倣できません。』


やはり無理か。

系統進化しているスキルでも同じスキルだから統合したスキルと判断されるよな。


「私は【槍鬼】で常時発現スキルよ。でも参考になるかしら?自分で理想の動きを頭の中で描き、それをトレースする動きをずっと訓練しているわ。それが正しいのかはわからないけど、戦ってなくても理想の動きを追い求めて動きをしていた方が、ただ闇雲に振り回すよりレベルが上がると思うわ。」


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【槍士】を模倣しました。』


これで戦闘系のスキル模倣が3つ目だ。

運がいいのか悪いのかわからないけど、統合はしなかった。

俺はもっと強くなれるようだ。

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