港町セイルズ
第293話
港町セイルズはロンギル共和国の海側の入り口だ。
陸路でも来れるが、エルフェノス王国からではかなりの距離を移動する事になる。
そのためエルフェノス王国より南側の国は海路で渡る人がほとんどであり、そのためこの港町セイルズはロンギル共和国の首都の次に栄えている街である。
「それじゃあこれからどうするの?」
「う〜ん、そうだな。とりあえず宿をとって次の動きについて話し合おう。」
俺たちは港町の宿を探す事にした。
「キリーエはロンギルは来たことあるのか?」
「いや、うちもロンギルは初めてかな。」
そうか。
なら宿探しもギルド探しも1からって事だな。
しかしこの国は傭兵稼業が主流だって聞いているが、冒険者ギルドとかあるんだろうか?
イザベラから知り合いの人への紹介文を書いてはもらっていたが不安になるな。
街を歩いている男性に話しかける。
「すいません、この街に冒険者ギルドってありますか?」
すると男はあからさまに嫌そうな顔をする。
「兄ちゃんあそこに行くのか?やめといた方がいいぞ。あるこたあるが、活動してるかもわからんし、何より問題ばっかり起こしやがるからこの街じゃ鼻つまみ者だ。行くなら止めないけど覚悟して行ったらいい。この道を真っ直ぐに行って突き当たりを左に行ったら古びた建物がある。何軒か建物はあるが、今にも崩れ落ちそうな建物だから行けばすぐにわかるよ。」
なんですと?
まあ確かに傭兵にほとんどの仕事が行くのであれば冒険者ギルドはする事がない。
傭兵であれば傭兵団に頼むことができるので同じ人が来るかもし違う人が来るとしても情報を共有しているであろう。
しかし冒険者ギルドであれば毎回誰が来るかわからないからな。
傭兵が多いこの街で冒険者ギルドが廃れるのもわかる気がする。
しかしナイコビ商会の事や紹介文の事、宿屋についても話を聞きたいからとりあえず寄ってみるか。
男性が言った通りの道を進んでいると確かな古ぼけた建物が見えてきた。
冒険者ギルドと書いてはあるが‥
中に入ってみる。
中は光源もないのか薄暗くなっていて人がいるかもわからない。
「すいません。誰かいませんか?」
声をかけるが返事も返ってこない。
「誰もいないのかしら?」
「そうだな。留守なのかもしれない。また後で来るか?」
「いるよいる!ちゃんといるよー!」
建物の奥の方から声が聞こえた。
すると奥の方から人が走ってきた。
人が走るだけで建物が揺れる。
崩れないか心配になるな‥
奥の方から駆けてきたのは少年のようだった。
髪は薄茶色で短めの髪に膝までのズボンを履いている。
顔はそばかすがあるが愛嬌のある顔である。
「セイルズの冒険者ギルドにようこそ!ご依頼ですか?」
「いや、依頼じゃなくて聞きたいことがあってきたんだが。」
すると少年はあからさまに残念そうな顔をする。
「はぁ‥なんだ依頼じゃないのか‥まあいいや。聞きたい事って?」
「このギルドにスキャンって人はいるか?獣人国のギルドマスターから手紙を預かってきたんだが。」
俺はイザベラさんから預かった紹介文を渡す。
「スキャンさんはうちのギルドマスターだよ。でも今はお酒飲みに行ってるから、戻ってくるのは夜になるよ。またその時来てもらったら会えるかも。」
おいおい。
昼間から酒飲んでるのかよ‥
イザベラさんの紹介だから大丈夫とは思うけど心配になるな。
「わかった。それじゃ夜に来るよ。あとこの街でおすすめの宿とかあるかい?」
「う〜ん、宿ね。基本このギルドに僕もマスターも寝泊まりしてるから宿の事はあまりわからないかなぁ。」
むぅ‥
なんて事だ。
本当に心配になってきたぞ。
「わかった。自分たちで探すよ。それじゃ夜にな。」
一旦冒険者ギルドを後にする事にした。
「どうするのマルコイ?」
「そうだな‥この街に知り合いもいないし‥」
困ったな。
ギルドの人に情報を聞いて動こうと思ってたんだが‥
「それじゃアレカンドロと連絡とってみたら?彼女だったら少しはこの街の事がわかるんじゃない?」
なるほど!
もしアレカンドロがわからなくても所属してる傭兵団に聞けばわかるかもな。
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