第294話

アレカンドロがこの町にいるかどうかわからないが、こんな事もあろうかとアレカンドロには魔道具を渡していた。


場所を確かめるためにアレカンドロに渡した魔道具の場所を確かめる。


ん?

この街の西方?

いや、街の外だな。


「アレカンドロだけど、この街にはいないみたいだ。でも他の街ってわけじゃないみたいだな。もしかして傭兵団で依頼を受けると言っていたから、その最中だったりするのかも。」


「そうなの。それじゃ依頼が終わって街に戻ってくるまで待つしかないわね。」


そうだな。

アレカンドロに会いに行きたくても邪魔になるかもしれない‥

大人しくこの街で戻ってくるのを待つか。


「でもアレカンドロって大きな作戦があるからって戻ったんよね?だとしたら少しでも戦力があったほうがいいんやない?もし行ってみて助力が必要なさそうなら終わってから声かけたらいいんやし。」


それもそうか。

もしアレカンドロが危険な時にこの街で待ってたとしたら後悔するもんな。


「よし!キリーエの言う通りだな。もし助力が必要なかったら近くで待機して終わるのを待つとしよう。それじゃとりあえず行ってみるとするか!」


何があるかわからないし余計なお世話だったとしてもアレカンドロなら笑って許してくれるだろ。


とりあえず街を歩いている人に港町の西方に何があるか確認する。


「すいません、この街の西方には何がありますか?」


「この街の西方?何もないよ。荒野が広がっているだけだよ。でもその荒野で最近オークがよく発見されるようになったから街の人は近づかないようにしてるよ。」


なるほど。

アレカンドロが所属する傭兵団は、そのオークを討伐しに行ったのかもな。


「ありがとうございます。」


「そう言えば今日の朝方この街にいる傭兵団がモンスターを退治しに行ったと思うよ。」


やはりそうか。

オークなら数が多くても問題ないとは思うけど、わざわざ獣人国まで来ているアレカンドロを呼んだのが気になるな。


「なあアキーエ。アレカンドロをわざわざ遠くから呼んだってのが気にならないか?」


「そうね。考えてもしょうがないからとりあえず行ってみましょう。」


そうだな。

ここで考えていても答えは出ないしな。


俺たちは教えてくれた人に礼を言って街を出るために移動する。


西方にある門から荒野に向けて歩き出す。


しばらく歩くが人はもちろんの事、モンスターにも遭遇しない。


「おかしいな、これだけ歩いてもモンスターにも会わないなんて。アレカンドロたちが討伐し尽くしたのかな?」


「そうね討伐しながら進んでいってるんでしょうね。でも全てのモンスターを討伐しながら行くなんて随分と時間がかかりそうだけど‥」


「まあ依頼が荒野のモンスター討伐だろうからな。しかしそうだとしても全部のモンスターを倒しながらってのはかなり労力使うだろうな。」


かなりの距離を歩いてきたが、未だにモンスターに遭遇していない。


そしてさらにしばらく歩くと前方に黒いモヤが見え出した。

荒野の端が全て黒いのだ。

少し動いているようにも見える。

それが何かはこの距離からでは確認できない。


「ねぇ、あの黒いのなんだと思う?」


「さあ何だろうな。この距離からじゃちょっとわからないな。」


そんな話をしながらその黒いモヤを見ていた。

距離を縮めると土埃も確認できた。


「おい、アキーエ。あれってまさか‥」


「多分そのまさかかもしれないわ。急ぎましょう。」


俺たちは急いでモヤの方に駆け出す。


黒いモヤの正体‥

それはモンスターの群れだった。


「あれはオークか?アキーエ、ミミウ戦闘の準備を!キリーエはミミウと一緒に行動してくれ。あれだけの数だ、アレカンドロたちがどれだけいるかわからないけど、数で押し潰されてるかもしれない。すぐに助けに入るぞ!」


くそっ!

まさかこれ程の数のモンスターと戦っているなんて。

これ程の数を討伐しようとするなら傭兵の数は100や200では到底無理だ。

とてもじゃないけどそんな数の傭兵がいるようには見えない。

無事でいろよアレカンドロ!

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