第180話
マルコイが居留守スキルを研鑽していると、待ちに待っていた人が訪ねてきた。
宿の人からの情報では執事服を着ているとの事だったので研鑽した居留守スキルを見せてやろうかと思ったが、王様からの使いとの事だったので皆を呼んで会う事にした。
「マルコイ様、お久しぶりでございます。」
訪ねて来た人は以前キリーエと登城した時に馬車で迎えに来てくれた人だった。
「お久しぶりです。先日はお世話になりました。」
「覚えておいていただけましたか。前回お会いした時はお名前もお伝えせずに申し訳ございません。わたくし城で執事長をしておりますバドリックと申します。宜しくお願い致します。」
「此方こそお世話になります。マルコイと愉快な仲間たちです。」
「アキーエです。」
「ミミウですぅ。」
「先日はどうも!キリーエです。」
「って誰が愉快な仲間たちよっ!」
おお!
アキーエさんナイスツッコミです。
「ははは。マルコイ様は相変わらず愉快な方ですな。それでは本日は王様よりマルコイ様に褒賞としてご用意されました家の方にご案内させて頂きたいと思いますがよろしいでしょうか?」
「はい!ぜひお願いします!」
バドリックさんから案内されたのは冒険者ギルドから10分程度歩いた王都の東側にある閑静な場所にあった。
周りに家は少ないが、全て大きめな家ばかりだった。
「この辺りは貴族街ではないのですが、閑静な場所を好む貴族や王都にお店を持つ商人の方などが住まわれている場所になります。」
なるほど。
つまりはお金持ちの人が多いって事だな。
「こちらがマルコイ様に贈与された家になります。」
バドリックさんの紹介した先にはおっきな家がある。
2階建てで外からではわからないが、部屋数も10はあるのではないだろうか‥
「2階建ての12部屋で地下室もございます。また敷地内に鍛冶場が必要との事でしたので、作業されても母屋に音が響かない程度の距離の場所に鍛冶場を設置しております。」
いや、俺たち4人しかいないんだけど‥
部屋余りすぎるんだけど‥
「地下室は修練場になっています。鍛冶場ほどではないでしょうが、音が気になると思われるため騒音防止の作りになっています。また浴室とトイレが3箇所、厨房とあり全てすぐに生活できるよう清掃や家具の配置も行っております。また必要品があれば1ヶ月以内に言っていただければ、全て準備されるとの事でしたので、ご遠慮なく仰ってください。」
いや、ありがたいよ。
ありがたいけど、大き過ぎるだろ‥
こんなもん誰が維持するんだよ。
掃除もままならないぞ。
仲間たちを見ると、やはり目をキラキラさせていた。
あ、拒否できる感じじゃないのね。
「あ、ありがとうございます。」
「はい。こちらが鍵になります。」
鍵を受けとる。
「わたくしがいると遠慮して何が欲しいなど言いにくい場合がありますので、ひと月後にお邪魔致します。それまでに必要な物を検討されて下さい。」
「わ、わかりました。必要な人でも構わないでしょうか‥?」
「もちろん大丈夫です。何なりとご遠慮なく仰ってください。」
バドリックさんが来る1ヶ月後まで掃除とかどうしよう‥
嬉しいけど、こんなに大きな家とは思わなかったよ‥
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