第181話

バドリックさんは鍵を渡した後、俺たちが家に入る前に帰って行った。


4人だけになり家に入るのを戸惑っているとアキーエが俺から鍵を取り上げてさっさと玄関に進む。


「何してんのよ?ほら早く入りましょうよ!」


おお!

珍しくアキーエさんの顔がキラキラしている。


いや、いつもキラキラしてて可愛いんだけど。

何というか物欲寄りのキラキラというか‥


ゴツい作りの玄関を開けると中が見える。


中央に2階に上がる階段が見える。

俺の実家も男爵家だったので割と大きいと思っていたが桁が違う。


シャンデリアとか目がチカチカするサイズだ。


「ほぁ〜、これは凄いやん。王様も奮発したんやね〜。よほどマルコイさんにこの国にいて欲しいみたいやね。」


そこまで評価してもらえるのは嬉しいが、サイズが想像してたものと2回り、いや5回りくらい違ってる。


「とりあえず貰ったもんはしょうがない。諦めよう。それじゃみんな部屋を決めようか。」


「何を諦めるのかわからないけど、部屋決めには賛成よ。」


「諦めるのは遠慮とかその他諸々な気持ちだ。貰ったもん勝ちの君たちと違い俺は繊細なんだよ。」


するとアキーエから肩をガシッと掴まれた。


「いいマルコイ。この世は貰える物は何でも貰うべきなの。遠慮とかそんな物は必要ないの。遠慮何かで世の中食べていけないのよ。」


何かよくわからない説得だが目力が凄い。

アキーエだけかと思ったらミミウとキリーエも何度も頷いている‥


「わ、わかったよ。今度からもらえる物は貰うようにするよ。」


そう答えると肩を握っている力が強くなる。

いててて‥


「でもねマルコイ。貰える物は全て貰うべきだけど、タダで貰えるけど貰ってはいけない物もあるのよ。世の中難しいわね。でもそれに関してはわたしやキリーエに相談してちょうだい。特に今後そういった機会も増えると思うから。特に貴族なんかは注意してね。特に貴族の娘なんかは要注意よ。」


迫力がエグい‥


肩に手の跡が残りそうな気がするんだけど。

エンチャント:水で治るかな‥


「わかりました‥ところで部屋はどうする?」


「はい!私は台所の横がいいですぅ!」


おう。

ミミウさん早いな。

でもそれってご飯を早く食べたいだけじゃ‥


「うちは応接室の近くがいいかな。多分うちが1番応接室使うかもしれんから。」


確かにキリーエは商談とかあるから応接室はよく使うだろうな。


「それじゃアキーエはどうする?」


「そうね。わたしはどこでもいいんだけど‥マルコイはどうするの?」


「俺はそうだな。できれば何かあった時のためにどこでも行けるよう真ん中辺りの部屋にしようかなと思ってるけど。」


「そ、それじゃわたしもその近くでいいわ。何かあった時に1人より2人の方がいいでしょ。」


確かに助かるが、なぜそんなに顔を真っ赤にして言うのだ?


「わかった。それじゃそれで頼むな。アキーエの着替え中に部屋間違えてラッキーなんて事も期待できるわけだな。」


はっ!

エンチャント:土を発動すると同時にスキル【堅牢】を使う!


もの凄い衝撃が足にいでっ!


足折れるて‥


アキーエのローキックは水竜より強いかもしれん‥

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る