第182話

部屋を決めてから、各部屋を見て回った。

流石に広くて数が多い。


地下の修練場も2人で闘っても充分過ぎるほど広かった。


鍛冶場は家から少し離れていたが、特に鍛冶場に行く時は伝えてから行くので問題ない。

鍛冶場にはすでに道具やインゴットまで置いてあり、いつでも作業してください状態になっていた。

ミスリルのインゴットまで置いてあるのにはちょっと困惑してしまった。

王様の期待感が伺える‥


皆で見て回ってあれやこれやとやっていると時間がたち、お腹も空いてきたのでご飯を食べる事になった。


その時に気づいたのだが、今まで宿で食べており食事を作る必要がなかったが、このパーティには料理をできる人が俺しかいない。


ミミウはもちろん食べる専門だし、キリーエも簡単な物しか作れないらしい。


アキーエに関しては‥‥


俺は彼女を台所に立たせてはいけないと思っている。


以前村にいる時に彼女が作ってくれた料理を貰ったのだが、真っ黒い得体のしれないものだった。

手にたくさん怪我をしていて、頑張ったんだなと思って思い切って食べてみたら死んだじいちゃんと会う事ができた。


3日くらい療養して治ったが、それ以降彼女に料理を作ってもらってない。


彼女は不思議そうにしていたが、彼女に人を殺させる訳にはいかなかった‥


となるとやはり俺が作るしかないか。

まあ料理自体は嫌いではないし、スキル【異世界の知識】で色々と試してみたい料理もあったからな。


俺が厨房に立つと、キラキラした目のミミウが側にいる。

そして違う意味でキラキラした目をしているキリーエもいた。


料理がやりにくい‥


しかしいくら異世界の知識を得たからといって、全てを作れるわけではない。


調味料とか品数が全く違うし、海産物なども干した物がほとんどだ。


その中で作れる料理となると‥

天ぷらとかバンバーグなんかだよな。


あ、味噌とか醤油とかキリーエに伝えたら何とかしてくれるかな?

俺が伝えたら、キリーエの人脈と財源を使って作ってくれそうだ。

キリーエの儲けそうだと思った時の行動力は目を見張るものがあるからな。


とりあえず調味料の話は後でするとして、今日のご飯はどうしよう。


今日から住む事になるとわかっていたからか、保存庫には肉類も置いてあった。

保存庫は中に冷気を発する魔道具を設置して中の物を冷やす事ができる。

しかし一定の温度しか出来ないし、魔道具を作った人によって温度が違ったりする。

それでも無茶苦茶高いので、お金持ちしか持っていない。


今度家の設備の魔道具を作ってみても面白いかも。


保存庫からお肉を出して料理を始める。

お肉を包丁で叩いてミンチを作る。

そして硬いパンを削って中に入れ、卵を入れる。


お肉を叩いている時のミミウの顔が、お肉様に何を〜みたい顔で面白かった。


丸めて鉄鍋で焼く。

ソースはあまり凝った物ができないので、トマトを潰してトマトベースのソースを作った。

やっぱりもう少し調味料があると色々できるな。

本気でキリーエに頼むか。


盛り付けしているとミミウの涎がすごかったのですぐに食べる事にした。


うん。

美味しくできた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る