第179話
ロメントとの闘いが終わった翌日。
疲れが残っていたので昼まで宿で休む事にした。
すると宿の人からお客さんが来ているとの事で一階の食堂に降りる事にした。
フロアを見回すと1人明らかに場違いな人がいる。
冒険者が多い宿で1人キラキラした貴族感丸出しの人がいる‥
まさか自分のお客さんじゃないよなと思って他の人を探していると宿の人が声をかけてきた。
「マルコイさん、あそこに座ってる方がお客さんです。」
うわ〜‥
貴族感丸出しの人がお客さんだった‥
あんな知り合いなんていないんだけどな。
貴族様が俺に何のようなんだろ?
「あの〜、どうもはじめましてですよね?マルコイです。」
「おお!マルコイ殿。はじめまして。私アルラント王国からきました子爵のメッシュナと申します。以後お見知り置きを。マルコイ殿の此度の闘技会での活躍にいたく感動しましてな。ぜひ一度お会いしたいと思って伺いました。」
あ、やっぱり貴族だった。
アルラント王国っていえは‥
「我がアルラント王国はウルスート神聖国の東に位置する国になります。マルコイさんは来られた事はありませんか?」
神聖国の東なら行ってないな。
てか神聖国に行きたくないから、神聖国を通るような国には今のところ行くつもりはないけど‥
「そうですね。まだ行った事はありませんね。」
「そうですか残念です。ですが私が懇意にしているアルラント王国のオリオレン伯爵の領土では、海産物が有名でして。そこならマルコイさん達に楽しんでいただけると思います。そこで闘技会が終わった後でよろしいのですが、ぜひ来ていただけないかと。」
あ!
これがキリーエが言ってた他の国からの引き抜きってやつか。
ほんとにあるんだな。
俺自身は昨日と変わってないのに周りの環境が急に変わるなんて不思議な感じだ。
「すいません、次の予定はロンギル共和国に行くようにしてるんですよ。」
特に予定は決めていなかったけど、今予定がないとか言ってはいけない気がする。
スキル【直感】はスキル【予測変換】に統合してしまったけど、それでも【予測変換】の中にいる【直感】が俺に言う。
ここで回答間違えたら間違いなくしつこく絡まれると!
「そうですか‥残念です。わかりました。ではいつでもいいのでお寄り下さい。その際は私メッシュナを尋ねてもらえばいいので。」
そう言って笑顔で手を差し出してきた。
握手を返そうと思ってメッシュナの顔を見ると目が笑ってない‥
いや怖いんだけど‥
ものすごく中身を覗こうとしてる目が怖い‥
とりあえず握手をして帰ってもらった。
また来ると言っていたから、今度は居留守を使おう‥
部屋に戻りベッドに座った途端に扉を叩く音がする。
「マルコイさん、お客さんが来てます。」
い、いやな予感が‥
結局その日だけで3組の訪問客があり世間の自分への評価の高さを再確認して、居留守スキルのレベルアップを図ったのであった。
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