第326話
数日が経ち相変わらずキリーエの仕事を手伝っていた。
あれから『カッカス』の動きはなく、そろそろこっちから未払金の取り立てに行こうかなと思っていると宿にスキャンがやってきていた。
「ようマルコイさん。お邪魔してるよ。早急にあんたに伝える事ができたからな。」
ん?
ようやく動きがあったかな?
「さっき『カッカス』を見張ってもらってたやつから情報があって、今日あたり『カッカス』が動きそうだ。何をするのかは正確にはわからないが、何かしら準備をしているようだと。もしかしたら何か依頼を受けてるのかもしれないが、もし誰かを襲撃するかもと思ってそのまま様子を見させている。もしかしたら何か起こるかもしれないぜ。」
なるほど。
やっと動いてくれたか。
しかしだいぶかかったな。
「見張りはそのまましてもらってていいかもしれないけど、おそらく襲われるのは俺だと思うぞ。だから見張りの人に行き先が俺のところじゃなければ教えて欲しいかな。」
「え?何言ってる?なんでマルコイさんが狙われるんだ?」
スキャンは驚いた表情をしている。
そりゃそうだよな。
相手さんの動きを見張ってて動きがあったと思ったら報告する相手のところに来るんだからな。
「いや、ちょっと『カッカス』にちょっかいかけてな。動いたらいいかなくらいに思ってたんだ。運が良かったよ。しかし動くにしても随分と時間がかかったな。『カッカス』の拠点があるところはそんなに遠いのか?」
「セイルズはナイコビ商会と敵対している商会が集まっていて、そこが雇っている『アウローラ』や他の傭兵団の拠点があるからな。セイルズには『カッカス』は支部しかない。『カッカス』の本拠点があるのはここから徒歩一日くらい離れているナーメルってところにある。もちろんナイコビ商会の本部もそこだ。」
なるほど。
ここから一日くらいか。
俺の事を拠点に持って帰り、ナイコビに報告してから検討。
そして襲撃命令が出てからこっちに来たとしたらこれくらいの日数がかかるのかな。
「わかった。スキャンの知り合いはセイルズの支店を張っているのか?」
「そうだな。一応本部もお願いしているが、離れているからな。直接の報告はほぼなくて手紙のやりとりだけだ。だから今回の動きも支店を張っている人からの報告が最初だ。そして本部の見張りをしている人からの手紙にも何やら数名がセイルズ方面に向かったと報告があったからな。」
なるほど。
ちょっと面白い事を思いついた。
実行するにしても今日明日にある襲撃が終わってからだな。
「ありがとうスキャン。また何かあれば報告してくれると助かる。」
「わかった。俺達はあんたにかけてるんだ。余計な心配とは思うけど、頼むから襲撃者に負けたりしないでくれよ。」
「はは。大丈夫だ。いつ来るってだいたいわかってる襲撃に負けるはずないだろ。逆手にとって対応するから大丈夫だ。」
「承知した。それじゃ何かあればまだ報告する。」
そう言ってスキャンは帰っていった。
「4人ともすまないな。俺のところに来るとは思うけど、念のためアキーエとミミウはキリーエの護衛についてくれ。アレカンドロはどうする?危険だから『アウローラ』の拠点に戻っててもいいぞ。」
「マルコイ殿‥そんな事言わないで下さい。自分も皆さんの力になりたいです。盾代わりでいいので、置いていてもらえば必ず役に立って見せます!」
「すまないなアレカンドロ。助かるよ。でも盾代わりはなしだ。危なくなったら自分の身を守る事を優先してくれ。必ず俺がみんなを助けるから。」
アレカンドロの顔が赤くなる。
「し、承知いたしますたっ!」
お、おう。
今日も声がデカいな‥
かんでるし‥
「侵入者が俺の部屋に来るようなら相手するが、もしそっちの部屋に行きそうなら俺が止めるからな。それと俺は【察知】があるからいいが、4人はできれば交代で寝るようにしてくれ。もしもがあると嫌だからな。」
「わかったわ。」「わかったですぅ。」
「マルコイさんなら大丈夫と思うんやけど、気をつけてな。」
「わかった。みんなも気をつけてな。」
それじゃあそろそろ『カッカス』の尻尾でも握らせてもらおうか。
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