第749話

イェルンさんの家の周辺が大混乱になっているうちにその場を離れる。


家の方向では時々爆発音がしている。

一回二回ではなく、結構な数の音がしている。


あれぇ?


あの一体だけかと思ってたら結構混じってるなおい。


まあイェルンさんの家の警備というか、見張りについてた奴らはヨエク側についてる奴らだと思うから、多少やり過ぎたとしとも問題ないだろう。


あ、間違えた。

これが狙いだったんだよ。


「マルコイさん。警備についていた兵達は大混乱のようですね。しかも爆発が起きた事で、人形に不用意に近づかずに様子を見ている兵が多いようです。さすがマルコイさんですね、ここまで狙っていたとは。」


でしょ。

そうなんですよ。

ここまで読んで抱きつき君を召喚したのですよ!





あまりに目立ち過ぎたようで、周りの家からも野次馬が出てるし、騎士団なんかも動き出したようだ。

しかし時間が夜ということもあり、まだまだ動きは鈍そうだ。


俺たちは3人で夜の街を疾走する。

まあイェルンさんは体力ないから、クィリーノさんに脇に抱えられてますけど。


「ここまで来れば大丈夫かな。」


「そうですね。あれだけ混乱してたら、私達に構ってる暇なんてないでしょうからね。」


イェルンさんは肩で息をしながら言う。


何故君が疲れてるのかね?


クィリーノさんに荷物的な感じで持たれてたような気がするけど‥


「と、と、歳には‥か、勝てませんね‥はぁはぁ‥」


ほら、クィリーノさん死にかけてるやん。




イェルンさんの家の周辺はまだ慌ただしくしている。


これなら大丈夫かな。

あとはアキーエたちと合りゅ‥


その時、また爆発音がした。


また抱きつき君が爆発したのかと思ったが、どうやら場所が違う。


「クィリーノさん!イェルンさんをお願いします。」


急いで行きたいが、2人を置いて行くわけにはいかない。


爆発した方向。

それはアキーエが泊まっているはずの宿の方向だ。


これだけの爆発だ。


何かがあったはずだ!



何としてもアキーエが街を焦土にする前に止めなければ!



それに俺が我慢したのに、アキーエだけずるいぞ!








マルコイと別れて、わたしはキリーエと2人で冒険者ギルドに向かう。


昨日も行ったけど、昨日はギルドの中がピリピリしていた。


ギルドは国の物ではなく、中立って立場だ。

その事はヨエクもわかっていて手出しはしていないみたいだけど、あれだけ監視していれば意味がないわよね。


ギルドの受付の人に聞いたけど、ヨエク側の言い分としてはギルドの運営については口を出していない、ただ自国の土地や建物を巡視しているだけだそうだ。


建物の中に常駐して冒険者達の一挙一動を監視しているのはどうかと思うけど。

巡視っていうのならさっさとどっかに行けばいいのにと思うんだけどね。


ギルドに行くまでの道も何度か衛兵にあった。


街を巡視している衛兵の人たちも緊張しているのがわかる。


誰が味方で、誰が敵かわからない状況に陥っているんだと思う。


早くヨエク将軍を捕まえて街を元に戻さないと。


さっさとヨエク将軍を捕まえたいところだけど、マルコイが何か事情があると思うって言ってたし、流石に街中で暴れるのも憚れるから自粛しとかないと。


巡視している衛兵とすれ違うたびに、横にいるキリーエの姿が消える事以外は特に問題なく冒険者ギルドについた。


ギルドの中は相変わらず衛兵が数人いた。


わたしたちが中に入るとこちらに寄ってきた。


「ギルドカードを拝見する。今日は何の用でここにきたのだ?」


昨日来た時に会った衛兵とは違うみたいだ。

わたしはギルドカードを取り出して衛兵に見せる。


「わたしは獣人国のギルドから依頼されて、この街のギルドが正常に稼働しているか確認するためにきました。」


「なるほど。Aランク冒険者か。ではギルドマスターと話をするのか?」


「ギルドマスターの部屋は2階の左奥でしたよね?でも今日はまず受付の方たちからお話を聞こうと思っています。」


さて、あとはキリーエがギルドマスターの部屋に行くと思うから、わたしは受付の人とお話しして時間稼ぎしないとね。







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