第939話

通常魔法を使う時は段階を踏む必要がある。


人は剣を振る時は一呼吸で振る事ができる。


しかし魔法を使う際は魔力を練る、そして放つという段階がいる。


初めから魔力を練っていればすぐに放つことができるが、それは最初の一発のみで後は結局段階を踏む事になる。


ましてや詠唱する場合はさらに時間を要する。


詠唱は魔法のイメージを高めて魔力を練りやすくする。


詠唱の内容は個人で決める事ができる。

放つべき魔法のイメージに沿ったものであれば威力を高め、消費魔力は減少する。


魔法の基礎を学べば、先人たちが決めた詠唱習う事ができる。

それを使用すると消費魔力や魔法の威力など完成した魔法を放つ事ができる。


だが高威力の魔法を放つとなると自分で詠唱を考える必要がある。


ちなみに俺の詠唱は魔法の威力が弱くなるという事で、アキーエさんとキリーエさんが考えてくれている。


げせぬ‥



魔法使いが後衛扱いになるのは、その段階があるがゆえに近接では剣士などの戦闘職と戦う事ができないからとなる。


まあアキーエさんは別だけど‥


あの人魔法使いじゃないしな‥


爆殺魔‥間違えた、爆殺女神だし。



しかし【精霊纏】を進化させたエルフたちは、その魔法を放つための段階を必要としていない。


拳を振るうと同じように魔法を放っている。


威力自体はアキーエの方が強いだろう。


しかしエルフたちは魔法の連射速度が早く、魔力を練っている様子が見受けられない。


精霊が持っている力を行使しているのだろうが、エルフが剣や拳を振った直後に魔法で追撃している。


これでは流石に仲間たちも苦戦しているはず‥



「むおっ!、まるで2人を同時に相手しているようだ!いいぞ、これは鍛錬になる!かかってくるがいい!」


アレカンドロは向かってきたエルフの剣を片手で持っていた大斧で受け止める。


すると剣先から炎が噴き出し、アレカンドロを襲う。


「いいぞいいぞ!もっとくるがいい!」


アレカンドロは空いていた方の手に戦斧を召喚する。


そして向かってきた炎に対して線斧を一振りして炎を消し去る。


あれ?

魔法ってあんな簡単に消す事できるんですかね?


「はっはっは!その程度の炎であれば風が付加されている自分の戦斧の敵ではないぞ!もっと工夫するがいい!」


「ちっ!この化け物め!」


エルフの背後から別のエルフが飛び出す。


「これならどうだ!」


エルフは両手を前に出して、圧縮された水を放つ。


アレカンドロはエルフに対して戦斧を投げつける。


戦斧はエルフの放った水を斬り裂きながら、エルフの腹部に当たりエルフを吹き飛ばす。


「まだまだ!」


う、うん。

アレカンドロは大丈夫そうだ‥


ミミウは‥


あ、エルフたちが一斉に魔法を放っているが、全く胃に介さずエルフたちをボコってます。


だってエルフが放った魔法はミミウさんの元まで届いていないもん。


ミミウさんは防御特化タイプだから、エルフが放つ魔法やエルフの剣も全くミミウの表鎧を削ることすら出来ていない。


するとミミウの身体を包んでいるゴーレムが上下にずれる。


そこを起点としてミミウゴーレムは高速で回転しだし、周りにいるエルフを次々と吹き飛ばしていった。


ミ、ミミウさんは平常運転ですね‥



リルは剣で戦う近接タイプだ。


俺の予想としては、リルが1番苦戦しそうな気がするが‥


リルの周りに濃い霧が出てる。


おそらくスキル【刀纏水姫】の効果だろうが‥


「な、なんだこの霧は?魔法が弱体化しているぞ!」


「うわっ、今なんか通っ‥がはっ!」


「て、敵を見失うな!この霧に乗じて攻撃してくるぞ!魔法で身を守‥ぐはっ‥」


次第に霧に赤色が混じっていく。


え、何怖い‥


「‥‥‥霧で‥‥斬り‥ほうだい‥‥」


え、もっと怖い‥


苦戦するどころか、斬り裂き魔となって生き生きとしてるんですけど‥



俺が呆然と仲間の戦いを見ていると、アキーエが近寄ってきた。


「マルコイ。何やってんの?これくらいの敵にわたしたちが負けるなんて思ってるの?マルコイのおかげで強くなったわたしたちは、これくらいの敵なら余裕よ。心配ご無用。さて、わたしも活躍しないとね。近接戦闘に魔法を取り入れるか‥でもその戦い方はわたしが得意とする戦い方よ。もちろん弱点も知ってるわ。」


「アキーエ‥悪い予感というか、何というかわからないけど、一応聞いてもいいかい?」


「ふふふ。教えてあげるわ。それはね‥‥‥強い魔法で全て吹っ飛ばせばいいのよ!」


あ、はい。

いつも通りですね‥






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