第16話 閑話

ゴブリンと呼ばれるモンスターにアキーエはパーティーのマルコイの合図に合わせて火球を放つ。


ゴブリンは2匹いたが、そのうち1匹をアキーエの火球で燃やして息の根を止める。


辺りにモンスターが焦げる独特の匂いが充満する。


最初はこの匂いが苦手で吐き気を催していた。今もまだ気分は悪いけど、少しはマシになった気がする。

モンスターとはいえ生き物の息の根を止めるという行為に対して罪悪感を感じるし倒したからといって爽快感を得られたりもしない。


幼い頃から親がやっていた宿の手伝いをしていた。大人になったらわたしが継ぐのかなって思ってて、そしてその隣には子供の頃からずっと一緒にいたあいつがいるのかなとか思ったりもしていた。


でも15歳の時にスキルが発現して一気に環境が変わった。


あいつが【模倣】ってスキルを発現して、凄いスキルかもってなったけど発現方法がわからず周りの期待もなくなってあいつは落ち込んでいった。


いつも元気で笑っていて、ちょっとスケベなあいつのそんな姿を見たくなくて、あいつに冒険者になろうって声をかけた。思いつきだったけど、あいつの目に光が戻ったような気がして言ってよかったと思えた。


親に言ったらもちろん反対された。でもスキルが冒険者向きだった事、あいつと一緒に行く事もあって何とか許してもらえた。


そしてあいつはわたしにありがとうって言ってきた。わたしがあいつの元気な姿を見たいと思ってやった事だったけど、あいつはとても嬉しそうに笑顔で言ってくる。その笑顔を見ていると何故か胸の奥がトクンッとなった。

そのまま抱きついてきたから頭がこんがらがってしまって思いっきり押しのけた。

うずまってたからごめんって思ってたけど、急にそんな事するからあいつが悪い!

まったく顔が熱いったらしょうがない。


最近はあいつの周りに女性がいるとモヤモヤする。

この感情が何なのかわかんないけど、今はそんな事気にしていられない。



あいつは【模倣】の使い方がわかってからどんどん強くなってる。



前に前に駆け出してる。

あいつが隣にいてくれるだけでわたしも一緒に走れる。

ついていくのが大変だけどね。


わたしもそのうち有名になって、爆炎の魔女とかカッコいい二つ名がつくのが夢なんだから一緒についていってやるわよ!



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