第220話
「どうする?もう俺にはお前の攻撃は通じないぞ。降参するか?まあ降参したとしてもお前の背後関係を話してもらうために王国に引き渡させてもらうけどな。」
「くっくっく‥」
するとガルヘアは蹲っていた状態から急に立ち上がり笑い出した。
「まさかお前がここまでやるとは思わなかった‥だがな‥まだだ!もう少し戦ってもらうぞ!」
ガルヘアは猛然と俺に突っ込んできた。
先程までの連続攻撃ではなく、大振りの拳を何回も繰り出してくる。
剣で逸らそうとしたがもの凄い力で逸らせなかった。
もしかして拳に能力値を全振りしているのか?
『予測変換』を使うまでもなく全ての攻撃がはっきりと見えているのでその全部を避ける。
諦めはしないか‥
しょうがない。
一度気絶してもらうしかないだろう。
俺はエンチャント:火風水土を使う。
まだ魔力に余力はあるが、一瞬で終わらせるのでそこまで魔力は使わないだろう。
『エンチャント:雷』
俺は全身に雷を纏わせてガルヘアに迫る。
『斬速乱剣・改』
俺はいつもの剣撃に肘や蹴りなどを加えて連撃を行う。
ガルヘアは防御に能力値を振ることなく全ての攻撃を全身に浴びる。
そして‥
ガルヘアはゆっくりと地面に横たわった‥
「ふぅ。ここからは王国の仕事かな。」
俺は闘技会関係の人に事情を話すために歩き出す。
「ふはっ!はははははっ!」
突然倒れたガルヘアが笑い出す。
気絶してなかったのか。
攻撃が甘かったか?
しかしもう立つ事もできないだろう。
「まさかこれ程の力を持っているやつがいるとは思わなかった‥Sランクの実力を測るために闘技会に参加したというのにSランクと当たらずに終わってしまうとはな‥」
ガルヘアはゆっくりと上半身を持ち上げる。
まだ地面に座ったままだが先程とは様子が違う‥
なんだ?
嫌な予感がする‥
そしてガルヘアは懐から何かを取り出した。
「‥‥‥様申し訳ございません。貴方様から頂いた貴重な魔道具をこんな所で壊す事になってしまいました‥その代わりに貴方様の障害になりそうな者を必ず排除致します‥」
そして三角形の何かを手に持ち‥
地面に叩きつけた!
ガルヘアが何かを地面に叩きつけた後に、ガルヘアの周囲に突風が起こった。
まるでガルヘアの姿を隠すかのように風が渦巻いている。
そのガルヘアがいると思われる中央から魔力が膨れ上がっている。
先程までのガルヘアからは魔力らしい魔力は感じ取れなかった。
冒険者の平均を下回る程度だったはずだか、今はロメントに感じ取った程の魔力がガルヘアがいる場所から感じられる‥
突風が止んだ‥
風が止まった中心部に男が立っていた。
ガルヘアと思われる男は多数の傷を受けているはずだが、それを感じさせないほど悠然と立っている。
目を瞑っているが、姿形はガルヘアと変わらない。
短い髪を後ろに撫で付けたような髪型に筋肉質な身体。
しかし取り巻く魔力が先程までとは大違いだ。
男がゆっくりと眼を開いた。
その眼は真っ赤な色をしていた‥
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