第221話
「う、うわーっ!魔族だ!」
「に、にげろー!」
静かになっていた会場が怒声や悲鳴で一気に騒がしくなる。
いきなり魔族が現れたのだ。
そうなるよな。
会場は我先にと逃げる人で騒然としている。
俺はガルヘアに声をかける。
「なるほどそりゃ50点だよな。魔族と繋がってると思ってたんだが、まさか本人が魔族だとは思わなかったぞ。」
「‥‥‥」
「ん?どうした?正体表したら喋れなくなったのか?」
「お前は逃げないのか?まあ逃げたとしても必ず追い詰めて殺すが‥」
「それじゃ逃げる意味ないじゃないか。それにお前を倒す必要があるだろ?」
「ひゃは!お前はまだ俺に勝てるつもりでいるのか?やはりお前は面白いな。しかしさっきまでの俺とは次元が違うぞ。」
確かにそうだろうな。
今のガルヘアはロメント並みの魔力を持っている。
魔力を持たない状態であの強さだったのだ。
今の強さは計り知れないだろう。
しかし俺が尊敬するターナカさんはこんな事も予想して俺に話をしてくれていた。
ボスキャラは戦って勝ったと思ったら第二形態に変身すると。
しかし俺がそれに敵対した時には、必ずその強さに対抗する物を俺が持っているとも。
確かに俺は持っている。
何のための力なのかわからなかったが、この時の為のものだったのだろう。
「周りが騒がしいなぁ?少し静かにしてやるかぁ。」
するとガルヘアは掌を場外に向ける。
「なっ!やめろ!」
ガルヘアは場外に向かって魔力の塊を放つ。
ガルヘアの放った魔力は外に逃げ出そうとしている人たちが集まっている場所に向かって飛んでいる。
まずいあれは止められない!
魔力が場外の人たちに当たると思った時に、見知った顔がその場に駆けつけているのが見えた。
「『召喚重装:ノーム』」
逃げ惑う人たちの前に大きな盾が突然現れる。
魔力の塊は大きな盾に当たり衝撃を与えた後に霧散した。
ガルヘアの魔力の塊はミミウの盾によって阻まれた。
「観客さんには手を出させないですよぉ!」
ガルヘアはニヤリと笑い出す。
「そうだったなぁ!お前もいたんだったな!だがこっち側ならどうだぁ?」
ガルヘアは反対の方を向き魔力を放った。
だが今回は大丈夫だ。
あの人が近くにいたからな。
「『着・魔防鎧』」
リュストゥングは鎧を装着して魔力を殴り飛ばした。
「マルコイすまないが、観客の避難が終わるまで魔族を引きつけておいてくれ。避難が終わり次第俺も参戦する。」
さすがSランク冒険者だ。
観客の誘導、被害を抑えるために動いてたのか。
「俺が倒してしまってもいいんですよね?」
「はっは。マルコイは頼もしいな。もちろん大丈夫だ!しかし相手は魔族だ。気を抜くなよ!」
俺の横にすっと赤い髪の女性が歩み出てきた。
「大丈夫ですリュストゥングさん。わたしがフォローに回ります。」
アキーエはいつの間にかガントレットを装備して俺の元に来てくれていた。
さすが相棒。
アキーエもミミウも行動が早いな。
それじゃ魔族討伐のリベンジといきましょうかね。
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