第43話

異世界のやつは真っ白だったが、少し茶色い炊き上がりだな。

量が少ないので少量ずつ分ける。


「美味しいですぅ!」


早いなミミウ‥


「これがパンと同じように主食として食べる事ができるみたいだぞ。」


「うん。甘くて美味しいわね。」


アキーエも美味しいと食べてくれている。

あれ?キリーエが固まっている。


「どうしたキリーエ?口に合わなかったか?」


「ふふふふふ‥お金や。これは金になるっ!マルコイさん!これは道具があればもっと大量に作れるんですか?」


「そうだな。道具は作り方なんかは説明はできるぞ。炊かなかったら保存もある程度できるみたいだぞ。」


「ちょっと待っててください!この村の村長さんと少しお話してきますっ!」


そのままものすごいスピードでキリーエは駆け出していった‥


しばらくしてキリーエは1人の男性と一緒に戻ってきた。

聞けば村長の息子らしい。


「マルコイさん、この人に道具の説明と作り方を教えてくれません?」


「わ、わかった。」


キリーエの迫力に思わず後退りしてしまった‥


精米までの過程に必要な道具作り方や用法を村長の息子さんに教える。


「教えるのはいいんだけど、これが商売になるのか?」


「道具を作るお金やしばらく精米作りを重点的にしてもらうと思うので、ある程度の支度金を渡しました。定期的な精米の購入と数年ウチ以外に精米を売らない事を条件にしてます。この村は特産品が特になかったので、喜んで契約してくれましたよ。」


おお、この短時間でそこまでするとは‥

凄いな。この村の特産品を作って、しばらくはキリーエが独占販売するのか。

支度金まで用意してやるなんて、村の事もきちんと考えているんだな。


「うひひひひ‥市場の開拓、食品関連の人脈確保、商品の需要が‥利益が‥」


うん。怖い‥

見なかった事にしておこう‥


しかし【異世界の知識】は勇者たちの持ってる知識に左右されるはずだが、誰がこんな詳細な知識を持っていたんだろうか?


勇者やあやめは違うような気がする‥

あの中で唯一知識人っぽいのは恵だったから恵の知識なのだろうか?






「ぶえっくしゅんっ!」


「あやめちゃん‥今のクシャミはあまりにも女の子としてどうかと思うよ‥」


黒髪でロングヘアーの淑やかな雰囲気の女性がクシャミをした女性に声をかける。


「誰かが私の事を噂してるわっ!クシャミレベルからすると、多分イケメンね。」


黒髪のショートカットで勝ち気な感じがする女性が応える。

ウルスート神聖国に戻ってきた、勇者パーティの恵とあやめである。


王都にモンスターの氾濫が起こったと同時にウルスート神聖国でもモンスターの集団が確認された為、訓練先の王都からすぐに召喚された神聖国に戻り数日前に到着したのだった。

モンスターの氾濫に魔王が絡んでいるのであれば、神聖騎士団では手に負えないため、急いで戻ってきたのだが、モンスターは確認された場所から動く事がなかったため現在も騎士団による監視が行われているのであった。

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