第42話
獣人国に行くには1か月程度の日数がかかる。
野宿や立ち寄った街や村で休みながら道中を進んで行った。
道中ではキリーエの身の上話などをして結構仲良くなれたと思う。
キリーエは王都で2番目に大きいアシット商会の次女で、アシット商会自体は長男が継ぐ事になっているそうだ。
他の兄妹は長男を補佐するためにアシット商会で商いをするらしいが、キリーエは自分で商会をやっていきたいらしくアシット商会でしばらく学び、今回独立したそうだ。
「やっぱり人の店を手伝うより自分で商いしておっきくしていった方が夢があるやんか!」との事でした。
商売に関してはしっかりしていて、今回の獣人国に売りに行く予定の干した果物をミミウが欲しがっていたら、しっかりと販売してらっしゃった。
かなり割安にはしてもらってたみたいだけど‥
その道中で獣人国との国境近くの村に寄った際に、見覚えのある穀物と出会った。
いや、正確には見た事はないのだが、頭の中に知識としてあるものだった。
村の人に話を聞くと家畜用にされている物で人が食べる物ではないそうだが、スキル【異世界の知識】が食べれるかも?ではなく、これは食べておけと言っている気がする。
このスキルもそのうち言葉を話しそうだな‥
「みんな、あの家畜用の穀物なんだけど調理すると美味しくなるみたいなんだけど‥」
「美味しいですか?どれがですか?どうしたらいいでふか」
噛みながら迫ってくるミミウ‥
あ、涎が滝のようになってる‥
「へえ〜、初めて見る穀物ね。この辺でしか採れないのかしら?」
アキーエが興味深そうに穀物を見ている。
「え?どういう事?なんでマルコイさんはそんな事わかるの?」
あ!キリーエがいるの忘れてた。
しばらく一緒に旅をしていたのだが、スキルについては話していなかった。言ってしまった手前誤魔化すのも難しいそうだ‥
どうするべきか‥この旅で信頼できる人物だとは思えているのだが、自分の秘密を話すべきなのか迷ってしまう。
「なんかスキルがあるんやろ?スキルにはそんなに興味ないから大丈夫。ウチが興味あるのはスキルの内容じゃなくて、それを使う人やから。それに家畜の餌になってた物が調理次第で美味しくなるとか、なんかお金の匂いめっちゃするんやけど!」
おう?思ってた反応と違った。
キリーエに秘密にするのは少し心苦しいが、本人が興味ないのなら、わざわざ伝える必要もないか。
穀物は保管されていたためか干してあったので、幾つかもらい実を穂先から落とす作業をする。
「道具がないから全部手作業だな。」
千歯扱きや石臼、米つき臼といった道具があればもっと楽になるんだけど。
手作業でするため、時間をかけて一合分くらいが確保できた。
水を多めに入れて炊く。
しばらく待っていると、いい匂いがしてきた。
ミミウさん‥下が涎で水溜りになってますけど‥
「できた!これがご飯って食べ物だ。」
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