第125話
城への呼び出しは3日後との事で、特に準備する事もないと思っていたのだが、アキーエがせっかく登城するのならきちんとした格好をするべきだと言いだした。
あんまり気乗りもしなかったから今から準備しても登城までに間に合わないと言ってみたが、古着でも貴族用の服はあるから買いに行くとの事だった。
なんでもお金に困った貴族なんかがよく売りに来るらしい。
しかし着る機会がほとんどないような服に金をかける必要はないと言ったがアキーエが頑として譲らなかった。
アキーエ曰くこれから着る機会が増えるからとの事だが、ホット商会の会長として出る機会なんてほとんどないというのにおかしな事をいうものだ。
アキーエに連れられてお店に向かう。
ミミウが食べ物の店をすごく知ってるのはわかっていたけど、アキーエが首都の色々なお店を知ってる事にびっくりした。
アキーエの趣味である古本屋巡りがこんなところで活かされてるんだなと全然関係ないところで感心してしまった。
目的の店に着き中に入る。
貴族の服が専門というわけではなく、普通の服もかなり置いてある。
そのどれもが綺麗に整頓してあって、それだけでお店に好感がもてる。
「こんにちは〜。モラさんいらっしゃいますか。」
アキーエが店の入り口で声をかけると、中から
「は〜い。いるわよ〜。ちょっと待っててぇ〜。」
と男の声が、聞こえてきた。
もうすでに帰りたい‥
アキーエに騙された気がする‥
店の奥から出てきたのは、金髪サラサラヘアでうさぎの耳を髪の根本から生やした獣族だった。
「モラさんはこう見えて、物凄く腕のいい裁縫士さんなのよ。今モラさんが着ている服も自分でつくったんだって。すごく可愛くてセンスがあるわよね。」
確かに可愛い服を着ている、とても可愛い女性が目の前にいる。
少しフリルが多く装飾されており、苦手な人もいるかもしれないが俺はこれくらいでちょうどいいと思う。
何よりよく似合っている。
可憐な感じがする女性だ。
多分さっきのは俺の聞き間違いだったのだろう。
「あら?アキーエちゃんじゃない!久しぶりね。」
かなり低音の声で話しかけてくる。
あれ?
女性なんだよな‥
声が低い女性なのか?
1人で困惑している‥
「あれ?今日は彼氏さんも連れて来たんだ?いいわね〜。それに結構いい男じゃない!少し目元が眠そうだけど‥」
余計なお世話だと思います。
「マルコイ。モラさんのお店は古着もとてもセンスがあるからここで探しましょう。あ、それとモラさんってギルドで受付してるイザベラさんの弟さんなんだって。」
ふ〜ん。
弟さんなんだね‥
おとうと‥?
「え?こんなに綺麗なのに男の人なの?」
「もうヤダー!綺麗だなんて!お世辞でも嬉しいわ!」
モラさんは俺の肩を叩きながら言う。
かなりのダメージだ。
本当に男の人の様な気がする‥
「モラさん。今日はマルコイが3日後に登城するから、それに相応しい服を見にきたの。見繕ってくれないかしら。」
「わかったわ。顔立ちに気品があるから何でも似合いそうね。少し待ってて。」
そう言いながらモラさんと店の奥に進んでいった。
進んでいるモラさんの姿はやはり可愛い‥
マルコイの脳は混乱している‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます