第284話

「今日の作戦内容は『オーク集落の殲滅』だ!数は未定だが多くて70匹前後といったところだ!俺達は約70程度。ノルマは1人1匹だ!それ以上狩ったものには給与に上乗せしてやる!気合入れて狩りまくれっ!」


すると静かにクワイスの話を聞いていた団員達は一斉に歓声をあげる。


「最近ナイコビの件でストレスが溜まっていると思う。連盟に雇われた俺達は最近は裏でコソコソしたり情報集めに奔走したりと俺達らしくない仕事が多かったからな!しかし今日はモンスターの討伐だ!思う存分お前達の力を振るっていいぞ!」


歓声がより一層大きくなる。


「それじゃ行くぞ!アウローラ傭兵団‥出陣!」


「「「おーっ!」」」


アレカンドロが所属するアウローラはオーク討伐のため港町セイルズから西の荒野に出発するのだった。




出発して2時間ほどで目的地とされるオークの集落が発見された場所に辿り着く。


そこまでの間に戦闘らしい戦闘もなく、オークが本当にいるのか疑わしい状態であった。


しかし目的地につき斥候を出すと崖に囲まれた場所にオークの集落があるのが確認された。


近くにいくつか洞窟のような物があるが主な集落は斥候が発見した場所のようで傭兵団の人数と同程度のオークが確認された。



クワイスはしばらく師団長達と話をした後に指示を出す。


そして静かにアウローラ傭兵団のオーク討伐が始まった。


70名前後の傭兵が静かに移動したとしても武具の音はする。


最初のオークが傭兵団を発見し、仲間に知らせるために大きな声を上げた瞬間に傭兵団の遠距離からの攻撃が開始された。


静かに近寄っていた団の前衛が、全て遠距離からの攻撃ができる傭兵で固められていた。


そしてモンスターに発見されたと同時に前衛にいる弓士や魔法使いらが一斉に攻撃する。

そして魔法や矢が止んだ後に前衛の後ろから近接武器を装備している傭兵がオークに襲いかかる。


突然矢や魔法を撃ち込まれたオーク達は自分達が狙われている事を理解するのにしばらくかかり、その半数程度が傷を負ったり命を落とした。


クワイスは最初の攻撃が上手く行った事に安堵感を覚える。

それほど梃子摺るとは思えなかったが、何か嫌な予感がしてアレカンドロを呼ぶことにした。

傭兵団を長年やっているとどうしても自分や仲間の命を危険に晒す事がある。

それを繰り返して何度も死線を越えると嫌でも勘が冴える。


そしてその勘は無視できない。

そのため今回は問題ないとは思いながらもアレカンドロを呼ぶ事にした。


しかし今の成果を見る限りでは問題なく型がつきそうだそう思いながら戦況を見る。

すると一匹の大きなオークが現れた。

他のオーク達よりも2回り程サイズが大きく、手には木から削り出したような大きめの棍棒を持っていた。


「やはりこれだけのオークがいれば上位個体もいるよな。まあアレカンドロとメンセンがいれば問題ないだろう。」


アレカンドロ達にに指示を出そうとクワイスが動いた時にそれが突然動いた。


大きなオークは周りに群がっていた傭兵達を棍棒を使い払いのける。


そしてその場で‥


絶叫を上げた。




少し離れた距離にいたクワイスでさえ耳を大きく抑えなければ鼓膜が破れてしまいそうなほどの大きな声であった。

もしかしたら近くにいた者はその声の大きさに気絶している者もいるかもしれない。

そう思いクワイスはすぐに指示を出す。


「あのオークにはメンセンとアレカンドロに当たらせろ。そして今の咆哮で近くにいたやつが気絶してるかもしれない。戦闘に巻き込まれないように引っ張り出してくれ。」


「はい!」


クワイスは指示を出した仲間が走り出したのを確認し、自分も戦闘に参加するべく駆け出そうとした時に後方より叫び声が聞こえる。


叫び声が発生した方向を見ると、そこには‥



自分達が相対しているオークとは比較にならない程の数のオークが迫っているという絶望があった。

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