第57話

今日はサミュウさんの作業場が借りれないため、依頼を受けるために冒険者ギルドに行く事にした。


朝から宿でも食べれるようになったホットケーキを食べながら考えているが、何か大事な事を忘れているような気がする‥


どんなに考えても頭にモヤがかかったようになり思い出せない。

とても大事な事だった気がするのだが‥


そんな事を考えながら冒険者ギルドにやってきた。

そして中に入り、受付嬢の頭にあるうさ耳を見た瞬間に全てが鮮明に思い出された。


ガチムチオカマうさ耳だった‥

なぜこんな大事な事を忘れていたのか‥

いや、意図的に忘れようとしたのだろう。

神よ、何故俺にこんな試練を与えようとするのか。



「お、おい大丈夫か?」


膝折れし床に倒れ込む俺に心配した冒険者の人が声をかける。


「あ、心配しなくて大丈夫ですよ。いつもの発作なので。しばらくしたらスイッチが入って元に戻るので。」


アキーエさんが慣れたように回答している‥


倒れ込むマルコイをよそにアキーエたちはギルドの依頼を探す。


「はっ!」


今回は15分程度で戻ってきたマルコイのもとにアキーエたちがやってくる。


「いくつか面白いのがあったわよ。」


そう言いながら戻ってきたアキーエの持っている依頼書を確認する。


Bランク依頼、Cランク依頼‥

それと、ランク制限なし?

詳しく読むと戦闘はA〜Bランク。C〜Eランクはモンスターに到着するまでの露払いのようだった。

討伐対象モンスターは‥

北側の山に最近住み着いたドラゴンの討伐だ。


「この依頼のどこが面白そうなんだ?」


アキーエにそう尋ねる。


「だってどのくらいのパーティが参加するかわからないけど、メインで戦わなくてよくって他のパーティの戦う姿を確認できるってことでしょ?今後のスキルを模倣するために必要な過程が1つ得られるって事じゃない。しかもお金ももらえるし。」


なるほど。

俺の事を思ってのことか。

ありがたい。


「皆んなはどう思う?」


「わたしたちは時間があったから充分話あったわよ。この国にきた目的である立ち回りも高ランクの冒険者がいるから見ることができると思うから受けてもいいかなって事になったわ。」


皆んなのレベルアップに繋がるなら受ける事にしよう。

多分今しか受ける事ができない依頼だと思うしな。


「キリーエはどうする?」


「ウチは屋台の件で忙しかったから助かるかな。ちなみに討伐依頼の報酬以上の収入が得られそうだから期待しといてな。」


おお。それは懐が寂しくなっていた俺にとっては大助かりだ。


「それじゃあドラゴン討伐依頼を受ける事にしよう!」


皆んなにメリットがあるのなら受けてみようと思う。後は危険性がどれくらいあるかだな。


とりあえず依頼を受けるために受付に向かう。


「あら〜ん。アキーエちゃん達依頼決まったのかしら?」


あ、忘れてた。

ガチムチオカマうさ耳さんが受付だったんだ。

そのあとまたしばらくマルコイは落ち込んでいた‥

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