第585話
「も、もう1つじゃと?」
えっと‥
リルの件と‥
あっ、あと俺のスキルの件があったな。
「すみません、あと2つかもです。」
「なっ!ふ、ふたつもあるのか‥エッケンよ。やはりポーションは持ってくるのだ。」
「承知いたしました。」
1個じゃ足らなかったか‥
「よしこいマルコイ。ちなみに内容はどんな物だ?」
「そうですね‥1つは俺の仲間の件です。もう1つは俺自身の事、スキルの事です。」
「なるほどの‥マルコイのスキルの件については疑問が多々あったからの。しかし何故かマルコイのスキルの件の方が胃が痛いような気がする‥」
失礼だなおい。
「よし、仲間の件から話すがよい。」
「はい。まあ仲間の件と言っても、そんなに大した事じゃないのかもしれません。」
「おお、そうか。ならば少し安心‥」
「実は俺の仲間に魔族がいるんですよ。」
「はぁ‥?‥‥‥‥はあっ!?」
うーむ、やっぱりそうなるよね。
「なぜそうなる?お主大した事じゃないと言ったではないか!勇者と魔族が一緒にいるなんて一体どういう事じゃ!?」
「魔王が出現した時に、魔族が好戦的になり魔王に従うようになるんですけど、その中には思考誘導のような物があまり効かない魔族もいるようなんです。」
「魔王が出現した時に魔族がおかしくなるのは思考誘導されているせいか‥確かに魔王が出現したとたんに魔族が好戦的になり、魔族以外の種族に攻撃を始めるのは言い伝えにも残っておる。種族の呪いと言われておるがな。それではお主の仲間にいるのはその呪いに侵されなかったのか?」
「はい。それは大丈夫だったのですが‥なにぶん腕が立つ者だったので魔族側が彼女を取り込むために洗脳のスキルまで使っていました。たまたま俺が洗脳を解く術を持っていたので事なきを得ましたが、このまま放っておけばまた魔族側に取り込むために洗脳をされるだろうと、それと次はおそらく心も壊されるだろうと思い連れてきました。」
「なるほどの‥」
獣王様はそのまま沈黙した。
やはり種族差別をしない獣人国でも魔族を匿うのは無理があるのか‥?
そして獣王様が重く口を開く。
「流れはわかったが、お主はどこで魔族と会ったのだ?」
「彼女とはロンギルと‥神聖国の領土内で会いました。」
「その‥領土内とは?何故お主が神聖国の領土内にいたのだ?勇者を連れ出す時に会うにしても理由がないと思うが?」
うん。
そうだよねー。
リルが神聖国でふらふらしてたって事にするか?
でもそんな事あるわけないしな‥
「えっとですね‥神聖国と帝国の戦いにちょっとだけ参加しまして‥」
「は?」
「いや、ほんのちょこっとだけですよ。勇者たちが逃げる時間を作るためにほんの少しちょっかい出しただけです。」
「なあエッケン‥戦争にちょっとだけ手を出して、魔族を仕向けられるってどういう事だ?」
「さあ?おそらくマルコイのちょっとが異常だったとしか‥」
そんな!
人をおかしい人みたいに言うなんてひどい!
ちょっとだけ嫌がらせをしただけなのに‥
「そうじゃの‥はぁ胃が痛い‥しかしマルコイがいくら強いとはいえ、戦争を動かすほどの力を持っておったとはな‥」
動かしたのは恐怖の木偶人形たちです。
「しかし何故神聖国と帝国の戦争に魔族が関与してるのだ?」
「それは‥」
俺は帝国の後ろに魔王がいる可能性を伝えた。
そういえばこの事も獣王様に伝える必要があったな。
大事な事だけど、優先度が低いから忘れてた。
「なんと‥帝国が魔族と手を結んでいるとは‥マルコイよ、この件も各国に伝えておく。あとエッケンよ、マルコイの話はまだ続きそうだから、ポーションを1ケース用意してくれ。」
1ケースは多い気がするけどなぁ‥
しかし獣人国を離れた後の事を報告してるだけだけど、ものすごく濃いな‥
あれ?
リルの件って了承されたと思っていいのかな?
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