第586話
「あのぅ‥魔族が仲間にいる事はよかったのでしょうか?」
「は?あっ、そうだったそうだった。それは別に構わぬぞ。しかし見た目はどうなっておる?一目で魔族とわかるそれか?」
「いえ、魔族の特徴である眼は魔道具により色を変えています。なので見た目は人族と変わりないかと。」
俺はリルの方を見る。
リルは俺と目が合うと、アキーエの後ろに隠れて威嚇している。
いや、今君の話をしてますよ。
そして結構大事な話だったりしますよ‥
「なるほどの。ならば特に問題あるまい。もし獣人国としてその娘を保護すると通達するのであればお主もその娘も表に立たねばならぬ。それならばその娘が魔族とバレた時にワシの保護があると言った方がよかろう?」
そうだな‥
今わざわざリルを人前に立たせる必要はないけど‥
魔族とわかった時に、王様が知らないと言ってしまえば獣人国としては匿っているという事実はなくなってしまう。
まあ獣王様がそんな事するとは思えないけど。
もしそんな事があれば、キリエル村にでも行こうかな。
「しかし‥思っておった以上に魔族が動いているようじゃな‥マルコイよ。お主が連れてきた勇者は魔王を倒せそうか?」
「そうですね‥魔王は勇者しか倒せない‥もし言い伝え通りであれば、勇者に倒してもらうしかないと思います。俺もそれを全力で支援するつもりです。」
「ふむ、お主がな。勇者と一緒に魔王と戦うのか?それとも勇者達の武具を作るのか?どちらにしろ、お主が助力するのであれば倒せる可能性はあがるであろう。」
「そうですね。魔王までの露払いはするつもりですし、魔道具や武具も渡すつもりです。」
「そうか‥‥‥‥‥なあマルコイ‥魔道具ってなんだ?お主まさか魔道具まで作れたりするのではなかろうな‥?まて!まだ言うな、エッケンよ!ポーションを持ってこい!」
う〜ん‥
口が滑った。
獣王様はエッケンさんからポーションをもらっている。
「してマルコイよ。お主はまさか魔道具を作れるのか?」
「はい。結構手早くどっさりと。」
「ーーーー!」
無言で驚く獣王様。
もう口が滑ったからしょうがない。
それに基本はセイルズの秘密基地で作るけど、獣人国を離れる事が出来ない時に作れないのは困るしな。
「くっ!ど、どの程度の物が作れるのだ?」
なんで苦しそうなんですか‥?
「えっと‥」
「あ、あれよな、力が少し強くなるような魔道具などだろう‥?」
「乗って操作できるゴーレムとかですかね。」
「な、なんじゃそれ‥?」
「え?練習が必要になりますけど、自分の手足のようにゴーレムを動かして敵を倒す魔道具です。」
「ほほう!それはワシも一度乗ってみたいものよ。‥‥そうではないっ!そんな物を作れる者がいるはずが‥」
俺は『スペース』からゴーレムを取り出す。
あんまり高スペックのやつをだすと、またポーションがぶ飲みしそうだから、装備品なしの量産型だ。
「こんな感じのやつです。」
獣王様は呆然とゴーレムを見ている。
「‥‥‥‥マルコイ‥。お主この魔道具を誰かに見せたか?」
「自分が信頼できる人には見せてますし、実際に使ってもらって感想をもらってます。」
「そうか。絶対他の国では見せるなよ。いや、お主が作れる事がバレなければよいか。そうでなければ、お主を求めて戦争が起こるぞ。」
「それはいくらなんでも‥」
「はぁーーー‥‥お主がそうだから安心だが、これは国宝級‥いや、国宝では収まらんな。お主をどうにかできるとは思わんが、馬鹿な考えを起こす国が絶対に出てくるぞ。」
そうかぁ‥
でもせっかく作ったのは試したいんだけどなぁ。
「ところでマルコイよ。」
エッケンさんが急に話しかけてきた。
「この魔道具は国に売るつもりはあるか?」
国に売るね‥
せっかく作ったのは使ってもらいたいけど‥
「そうですね。獣王様やエッケンさんに個人的に売るのは構いませんが、国に売るのはやめておきます。戦争なんかに使われたくないですから。」
「そうか。」
エッケンさんは顔に笑顔を浮かべる。
あれ?
売らないって言ったのによかったのかな?
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