第447話
『アウローラ』で話をした後に、冒険者ギルドに寄ってスキャンにも声をかけてきた。
スキャンは傭兵じゃないから何と言って連れ出そうかと思っていたが、相談したら二つ返事で参加を表明した。
なんでも搭乗型ゴーレムの練習の成果を発揮できると喜んでいた。
そうだよな。
普通力を持ったら、それを使ってみたいよな。
その力を使う目的さえ間違えなければ、力は必要なものなんだから。
スキャンには是非魔道具の素晴らしさを、クワイスにも伝えて欲しい。
ライリーまで連れて行くわけにはいかないと思っていたが、ここに1人でいるよりついてきたいと言い出した。
流石に冒険者ギルドに誰もいないのはまずいのではないかと思ったが、特に問題ないらしい。
いや問題ない‥のか?
まあ俺が口を出す問題じゃないんだけど、冒険者ギルドも一応商売なんだから、キリーエが知ったら大改革しそうだけど‥
ライリーを危険に晒すわけにはいかないので、ライリー用の魔道具を考えておくか。
皆んなが準備して神聖国に行くまでには少し時間がかかると思うから用意は出来るだろ。
その後にエルエス兄さんの元に向かった。
エルエス兄さんに渡した『投げてどっかん槍』を辿れば転移できるんだろうけど、さすがに傭兵団の拠点にいたら突然転移して来たら迷惑だろうしな。
羽根人形を使いエルエス兄さんの元に向かう。
エルエス兄さんが所属する『ガルベスト』はセイルズから1日程度離れた場所にある。
なので俺が羽根人形に魔力を込めたら‥
1時間で着いた。
全力で魔力を込めると、息が出来なくなるほどスピードが出るので、ほどほどにしたがそれでもかなりのスピードが出た。
低めに飛んでる時に虫が額に当たり、頭が割れるかと思ったし‥
『ガルベスト』を探すと一目でわかった。
だって看板に『この先傭兵団『ガルベスト』の拠点』って書いてあるもん。
随分と自己主張の強めな傭兵団だな。
「こんにちは〜。誰かいらっしゃいますか?」
「はいは〜い。」
俺が声をかけると中から若い女性が駆け寄ってきた。
「はい。傭兵団『ガルベスト』へようこそ。今日はどのような御用件でしょうか?」
そうだよな。
これが普通だよな。
『アウローラ』は受付嬢を雇うとか考えないと、ラケッツさんのままだと潰れそうな気がするぞ。
オレンジの髪を肩くらいで揃えている女性で歳は20歳くらいだろうか?
少し目尻が下がっていて、とても優しそうに見える。
「俺はここで副団長をされてるエルエスさんと同じ親御さんから産まれさせてもらったマルコイと言います。今エルエスさんこちらにいらっしゃいますか?」
「えっと‥同じ親御さんから‥‥それって弟さんの事ですね。」
「はい‥そうともいいますね。」
ぐはっ。
おっとりと言い直された。
「それでは少しお待ちください。今連れて参ります。」
「あー、いいよいいよスネタ。ようマルコイ!どうしたんだ急に?」
入り口で受付の人と話ししてたらエルエス兄さんがやってきた。
「エルエス兄さん久しぶり。ちょっと相談事で来たんだ。」
「そうか。それじゃあスネタ、ちょっと応接室を使わさせてもらうよ。」
「はいわかりました。」
にっこりと笑うスネタさん。
やっぱり受付嬢はこうじゃないとね。
ここが冒険者ギルドじゃない事が無念でなりませんよ。
「すごく丁寧で優しそうな女性だね。」
「ああスネタの事?まあ確かに優しそうにしてるけど、普段はそうでもないぞ。依頼者の前では猫かぶってるけど、金持ち狙ってるからだと思うし。女には棘が恐ろしいほど生えてるもんだぞ。それにアイツは趣味で受付してるけど、ああ見えてうちの団ちょ‥あだっ!」
突然かなりの大きなサイズの木箱が飛んできた。
木箱はエルエス兄さんの頭を直撃し、エルエス兄さんを床に沈めた。
「エルエスさん。人の文句はちゃんと聞こえないところでしないと。そうしないと、何も無いところから突然木箱が飛んできたりしますからね。」
スネタさんは満面の笑みでエルエス兄さんにそう告げる。
え?
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