第446話
さてさて、それじゃあ神聖国に行く前に2つ程準備をしなくてはいけない。
まずは1つめの準備のため、またまた『アウローラ』の拠点を訪れる。
「たのもー!」
入り口で大きな声で呼びかけると中からラケッツがやってきた。
「なんだ?入り口で大きな声出しやがって。ここが『アウローラ』の拠点だと‥‥マ、マ、マルコイさん!きょ、今日はどのようなご用件でございました?」
「やあ!久しぶりだね。ラケッツさん!」
「お、お久しぶりでございます。」
そんなに怯えなくても‥
友好的な笑顔を浮かべてるのに‥
「ちょっと相談事があってきたんだけど、クワイスはいるかな?」
「は、はい!少しお待ちください!」
もうこっちがびっくりするくらいの素早い動きで、ラケッツさんはクワイスを呼びに行った。
俺は仲良くしたいだけなのに‥
しょうがない。
仲良くなるために、素敵な魔道具を贈るとしよう。
「マルコイさん!クワイスいました!」
クワイス呼び捨てになってるけど‥
「それじゃあ、ちょっとお邪魔するよ。」
するとしきりに頭を下げるラケッツさん。
こんな頭を振る人形とか作ったら売れるかな?
「たのもー!」
俺は団長室の扉を開けて中に入る。
中にはクワイスとメンセンがいた。
「あれ?メンセンもいたの?」
「そりゃマルコイさんが相談事に来たって事は只ごとじゃないから来るだろ。」
むう。
別に問題ばかり持ってきて‥‥るか。
「問題事じゃないよ。今回は依頼に来たんだよ。」
「ほらやっぱり問題事じゃないか。」
なぜに?
「はぁ‥‥マルコイさん。依頼内容は?」
クワイスよ。
依頼者に対して、そんな大きなため息を吐いてはいけないと思いますぞ。
「いや、どうやら神聖国が帝国とモンスターに襲われそうだから、ちゃちゃっとモンスターを退治してもらおうかと思ってさ。」
「はあ‥?」
ん?
モンスター退治は傭兵団の得意分野じゃないのか?
「この前勇者パーティに会ってさ、神聖国が帝国に攻め込まれてるんだけど、どうやら同時期にモンスターの氾濫も起こりそうなんだって。このままだと、魔王討伐にも影響が出そうだから、神聖国は帝国と戦ってもらって、モンスターに関してはこっちで何とかしてやれないかと思って。」
「それは‥確かに勇者を有する国が滅んでしまっては、魔王討伐も出来なくなると思うけど‥でも俺たち『アウローラ』だけじゃモンスターの氾濫なんて制圧する事できないと思うぞ。」
「何を言ってるのかねクワイスさん。君たちには俺が渡した魔道具があるじゃないか!それを大いに使ってもらっていいから!それに同じように魔道具を渡したスキャンとエルエス兄さんにも来てもらうから大丈夫だ!」
なんて素晴らしい作戦!
これで勇者の手助けも出来て、魔道具の実験も出来る!
「はあぁぁぁ‥‥‥‥マルコイさん本気だよね?」
「当たり前じゃないか!今使わなくて、いつ使うんだ!今でしょ!」
「はあぁ‥‥わかった。どうせ今断ったって最後にはやらなくちゃいけなくなりそうだから、了承するよ。」
やったー!
これで楽しい実戦が出来るぞ!
「マルコイさん‥‥顔が勇者を心配してる顔じゃないよ。満面の笑みだよ。」
あ、やべ。
顔に出てたか。
「マルコイさんよ!俺も貰った魔道具使ってもいいか!」
「もちろんだ!まだ装備が整ってないけど、使いながら何が欲しいか教えてもらっていいぞ。俺も整備班としてついていくから。」
「よし!そうと決まれば俺の蛇腹鎧の凄さを見せつけてやるぜ!」
ん?
それは俺が渡したシャッター鎧君の事かね?
そんな名前にしたつもりないんだけど?
「そしたら俺はスキャンとエルエス兄さんにも声をかけてくるよ。」
俺はそう言って団長室を後にした。
「マルコイさん‥ついてくるんだ‥」
そんなクワイスの呟きは俺の耳には届きませんでした!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます