第445話

「『アウローラ』の人たちにモンスターを倒してもらうって事?」


「ああ。『アウローラ』ならロンギルに被害が出ないように、お金持ってる商人が依頼したとかにすれば、神聖国に協力する事も可能だろ。」


いいぞ。

思惑通りに会議が進行している。

このまま突っ切れ!


「それに傭兵団がお金を貰ったから手伝ってるって言ってしまえば、さすがに神聖国も傭兵団を神の御使い認定する事もないだろ。」


よし!

これで完璧だ。


「はい。」


「はいアキーエさん。」


「でもそれって‥‥いろいろ考えてるようにみせて、マルコイがモンスター相手に魔道具の実験したいだけじゃないの?」


はい。

アウトー!


「な、な、な、な、なにを言ってるのかね!アキーエさん!そんな事ある訳ないでしょうが!俺は世界を守る為に最善を尽くす所存でございまして!」


「もう何言ってるかわかんないわ。それで?神聖国のモンスター相手に『アウローラ』の皆さんを連れて魔道具の実験に行くのよね。それにわたしたちがついていくかどうかって事?」


むう。

実験に行くという仮定で話を進められている‥

まあ当たってるけど‥


「そうだな。実験かどうかは置いておいて、『アウローラ』の力を借りて手助けしたいとは思っている。でもどこで神聖国の信者に見られるかわからないからな。俺は単独行動がいいんじゃないかと思うんだが‥」


「何馬鹿な事言ってるのよ。マルコイ1人で行かせたら、魔王よりも神聖国を破壊するじゃないの。誰かが見てないと危なくってしょうがないわよ。」


なんですと?

どちらかと言うと、アキーエの方が色々とぶっ壊しそうな気がするぞ。


「そうやね。うちは神聖国には行った事ないから役に立たないかもしれんけど、できればマルコイさんの側を離れたくないかな。どこに儲け話が転がってるかわからんし、離れた事で儲け損なったとかなったら死んでも死にきれんわ。」


別に毎回何か思いつく訳でもないんですけど‥

でも離れていても、キリーエなら俺が考えた事が伝わりそうで怖いな。


「モンスターに勇者ですか‥腕がなりますな!」


いや、アレカンドロよ。

モンスターと勇者を同列にするでない。

どこまで脳筋なんだね君は‥


「モンスターに地竜さんいますかね?楽しみですぅ!」


うん。

ミミウは言わずもがな。


「それにマルコイの事だから、神聖国にバレないために何か考えてるんでしょ?」


ふむ。

そこまで予測されてるとは‥

全く頼もしい仲間だな。


「でも本当いいのか?」


「はい!マルコイさん挙手するですぅ!」


あ、はいすみません。


「はい!」


「はい!マルコイさんですぅ!」


「本当にいいのか?余計な事に巻き込まれる事間違いないぞ。」


「それこそ愚問じゃない?今までも散々巻き込まれたし、巻き込まれに行ってるじゃない。みんな慣れっこだし、それも含めてマルコイだから。」


むう。

そう言えばアレカンドロも言ってたな。

俺は戦いの中に身を置いてるって。

そんなつもりないのになぁ‥


それに今回はちょっとだけ、実験の為にお邪魔しようと思ってただけなのに‥


まあいいか。

急いで帰る必要もないし、魔王がいて勇者がそれを倒さない限り、避けては通れぬ神聖国だしな。


「わかった。それじゃあ今回もみんなで行動すると言う事で。」


「「「はーい!」」」


さてさて、それじゃあ色々と動きましょうかね。








「おい、エッケン。マルコイ達はまだ獣人国に帰って来ないのか?」


「そうですな。一応ロンギルに送った調査員の話では、特に問題なくナイコビ商会の件は解決したようです。」


「そうかっ!国も滅んではおらんな?」


「はい。森が半焼したようですが、大きな被害はなかったようです。」


「そうか。それはよかった。ならばもう時期帰ってくるのだな。」


「そうですな。何か別の事に巻き込まれなければ‥ですが。」


すると獣人国の国王ゲリィ・オールバーグは頭を抱える。


「巻き込まれると思うか‥?」


「そうですな‥帝国の件がありますゆえ。」


すると2人は深いため息をつくのだった‥

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