第444話

翌日、恵たちは神聖国に帰って行った。


あやめが滞在日数を延ばすように交渉すると言っていたが、あえなく撃沈したようだ。


見送りをと考えたが、あまり神聖国の人と会うのも憚れたので遠目から見るだけにした。


神聖国に行った時に誰に会うかわからないからな。なるべくリスクは少なくしておきたい。


かなり遠目から眺めていたが、恵は気づいたのか此方に向かって頭を下げていた。


俺も軽く手をあげて別れを告げる。




2人を見送った後、宿に戻り久しぶりにみんなを集めた。



「さて『第何回かもう久しぶり過ぎて忘れてしまいましたが、これからどうしようか会議ー!名前も合ってるかどうかわかりません』を開催したいと思います。」


「‥‥本当に突然よね‥どうしようも何も獣人国に帰るんじゃないの?」


「はいアキーエさん!意見は挙手して言いましょう!」


「はいはい。それじゃあマルコイさん。これから獣人国に帰るんじゃないでしょうか!」


アキーエが手を挙げて話をする。


うん。

会議の進行に挙手は必要です。


「はい。当初の目的はそうでした。しかしちょっとした事が起こりまして。実は先日ホットモールで勇者パーティに会いました。」


「はい!」


「はいアレカンドロさん。」


「マルコイ殿は勇者とお知り合いなんでしょうか!」


うっ。

声が大きいな。

すぐ近くにいるから、そんな大きな声じゃなくても聞こえるよ?


「そうですね。召喚されて間もない頃に勇者パーティと会って、少し交流しています。」


「なるほど!ところで勇者はマルコイ殿と何分くらい戦えますか?」


うん。

相変わらずの脳筋ですね。

でも最初から俺が勝つと思っているところは、好印象ですね。


「う〜ん、あいつらもこっちに来てからだいぶ経つし、強くなってると思うからなぁ‥一概にどれくらいで勝てるかはわからないな。」


「なるほど!是非とも自分も戦ってみたいです!」


はい。

君は一体何を言ってるのかね?


「はい!」


「はいミミウさん!」


「ミミウはタコ焼きは正しいと思います!」


うん。

ミミウは挙手したかっただけだね。

話が進まないじゃないか。


「はい。」


「はいキリーエさん。」


「マルコイさんは勇者パーティと会って、勇者パーティから何らかの話を聞いた訳やね。おそらく勇者パーティの置かれてる現状とかや。そんで、今度は勇者パーティの手助けをするために神聖国に行きたいって事やないの?」


うん。

さすがキリーエさん。

話がサクサク進みますね。


「まあそうなるな。勇者パーティの置かれている状況があまりよくなかった。神聖国が勝手な事をしてるから、帝国に攻撃されたり、モンスターの氾濫の兆しがあったり、仲間が洗脳されてるみたいだったり。このままじゃ魔王討伐に支障が出そうな勢いなんだ。」


「そんなに酷いん?」


「ああ。洗脳については魔道具を渡したから、もしかしたらどうにかなるかもな。でもモンスターの氾濫についてはタイミングが良すぎるから、帝国の裏に魔王がいるのかもしれない。本来は勇者が倒すべきなんだろうけど、神聖国の思惑が絡んでて身動きがとれない状況なんだ。」


「でもそれって‥」


「はいアキーエさん。挙手をお願いします。」


「はいはい‥はい!」


「アキーエさんどうぞ。」


「はい。でもそれってマルコイが手助けに行ったら、それこそ神聖国に目をつけられるんじゃないの?手助けをして、モンスターの氾濫を鎮圧でもしてしまったら、神聖国承認パーティとかなりそうなんだけど‥?」


そうなんです。

それは断固拒否したい案件なんですよね。

光属性が使える事がバレたら、勇者認定されたりすると困るし、最悪偽者とかイチャモンつけられそうだもん。


「はいアキーエさん。いい質問ですね。それは俺たちとしても望んでいない。そこで俺は『アウローラ』に協力してもらおうかと思ってる。」

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