第320話
ポッサムさんに報告するために土地の選定を行なった。
『アウローラ』の拠点から近く、船などが泊まらない場所にする。
場所を決めて、ポッサムさんに報告したら、問題なく承諾を得た。
契約書も作成してもらい、これで海苔を作る場所を決める事ができた。
キリーエとミミウに来てもらい、ミミウにはその区画がわかるように『ノーム』に手伝ってもらって海の中に土壁を作ってもらった。
これで海の中に生息するモンスターも入ってこれないだろう。
まあクラーケンのようなモンスターが来たら話は別だけど。
‥!?
あっ!
『スペース』の中にクラーケン入れてるの忘れてた‥
結構時間が経ってるから腐ってる可能性もあったので恐る恐る『スペース』の中を覗いてみる。
さ、さすがにモンスター。
死後結構経ってるのにまだ新鮮ぴちぴちでした。
とりあえず一部分だけ切り取って外に出す。
まあ一部分とはいえ、俺の顔くらいあるんだけど‥
「なあミミウ。ちょっと前に倒したクラーケンなんだけど、モンスターだけどイカだと思ったから『スペース』に入れたけど食べれると思う?」
「クラーケンってあのでっかいモンスターよね?あんなん食べれるん?まぁあれだけの量あったらかなり食べれるとは思うけど、うちはちょっと食べるの‥」
「食べるですぅ!」
おおう!
「ミミウの夢は世界中の美味しい料理を食べる事と、マルコイさんの作る料理を1番に食べる事ですぅ!モンスターもマルコイさんが作ったら美味しくなるですぅ!」
あ、ありがとうミミウ。
「わかった。少し調理してみるか。でも食べれないかもしれないから、その時は諦めような。」
「わかったですぅ!」
「今は昼前だから宿も厨房借りれないと思うから、先にここの仕事を終わらしてから行こう。」
「わかりました!ミミウ頑張るですぅ!」
呼応したように『ノーム』が腕を曲げてちからこぶを作る。
『ノーム』にお願いして作った土の壁に小さな穴をいくつか開けてもらう。
これで海水の交換も大丈夫かな。
『ノーム』が張り切ってくれているので、強度も問題ないだろう。
後は囲んだ海の中の確認と殻胞子嚢を養殖する。
それを海に浮かべた網に付着させたら後は勝手に育つからな。
まあちょこちょこ確認はいるけど。
その辺の仕事と収穫やらなんやらを雇用した人にお願いしよう。
後は四角い海苔への加工もしないとな。
それはぼちぼちでいいか。
一旦今日出来る作業を終わらせたので宿に戻り厨房を借りる。
昼が終わったばかりだから、しばらくは貸してもらえるそうだ。
お礼に金貨を渡して厨房を借りる。
宿の主人は「いつでも言って下さい!」とニコニコしながら去っていった。
金貨は偉大だ。
とりあえず出したクラーケンを洗ってまな板に乗せる。
まずは食べれるかどうかだな。
出したクラーケンの一部をさらに切り取り、それを斜めに薄切りにしていく。
異世界のサシミって食べ方だが、とりあえず何もつけずに口の中に入れる。
もし毒があったりしてもエンチャント:水がある俺ならなんとかなるだろう。
‥‥‥うん。
はっきり言ってアホほど美味い。
なんだこれは?
普通のイカに比べて弾力はあるようだが、噛んだ時の旨味が全然違う。
それでいて臭みもない。
口の中が痺れるような感じもしないので毒もないだろう。
まぁしばらく経たないとわからない毒もあるからその時はポーションだな。
残ったクラーケンを薄く麺のように切る。
皿に並べていくが、透き通った白っぽい色だ。
「まずはクラーケンのサシミだな。異世界ではこうやって麺のようにして食べるそうだ。」
3人分皿を用意してしょうゆをつけて食べる。
これは美味い。
一切れ食べて味わってもいいし、数切れまとめて口の中に頬張ってもいい。
歯応えが堪らんな。
横でもしゃもしゃする音が聞こえる‥
ミミウさん‥イカのサシミをウドンのように食べるのはやめましょう。
いっぱいあるから無くなった皿を寂しそうな目で見なくていいから!
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