第838話
弾き返されたヨエクの二の腕部分が膨れ上がる。
膨れ上がった二の腕は、爆発して周りにヨエクの血を撒き散らす。
ヨエクの血は地面に降り注ぎ、悪臭を放ちながら地面を溶かす。
辺りに地面を溶かす際に出た煙が立ち込める。
「ぐ!クそっ!」
まだ終わりませんよっと。
俺はヨエクに向かって駆け寄る。
隣を見ると同じようにアレカンドロも大斧を構えたまま駆けていた。
スキル【聖鎧闘士】を発動して、美しい鎧を輝かせながらアレカンドロは大斧を腰辺りに構え直す。
「どーっせい!」
そして間合に入ると同時にヨエクの身体に下方から大斧を振り上げた。
アレカンドロの大斧はヨエクの腹部に当たり、ヨエクの身体を大きく浮かばせる。
まずはヨエクの息の根を止める。
ヨエクの意識が途切れれば、他のやつらと同じように意思を持たない肉塊に変わるはずだ。
エンチャント:勇敢なる者を発動する。
消費魔力が大きい技は使わずに、ここは堅実に行く。
駆けてきた加速の力をそのまま使い、空に駆け上がる。
「これでどうだっ!」
『スペース』から取り出したダマスカスの剣を大きく振りかぶり、そのまま縦に振り下ろす。
剣はさほどの抵抗を感じぬまま、ヨエクの身体を通り過ぎた。
俺は身体を前転させて地面に降り立つ。
「ぐヌぁ‥‥」
ヨエクの身体は地面に撃ち落とされ、身体の真ん中に赤黒い亀裂が入る。
ヨエクの身体は重量に逆らえず、左右に分かれて地面に倒れ込んだ‥‥
さてと‥
後は肉塊を刻んで燃やす事になるわけだが‥
気配を感じてその場から転がって離れる。
俺が一瞬前まで立っていた場所に歪な形をした腕が打ち付けられていた。
「「ちッ!避ケよっタか。」」
なんだと?
真っ二つになったはずだぞ?
絶命しているはずだ!
立ち上がり、ヨエクの方を向き直る。
ヨエクの身体は確かに2つになっていた。
しかしその身体の断面は、紫色の肉が盛り上がって歪な人のような形を形成していた。
おいおい。
なんだそりゃ‥
「ふははははは!それくらいで私の最高傑作が止まるはずがないでしよう!回復力、繁殖力を重点的に操作しましたからね!意識を繋いだまま斬られても復活しますし、なんと、そのまま意識を2つに分ける事すらも可能!なんと素晴らしい!ま、あまり意識を分け過ぎると自我が崩壊するようですけどね。」
突然シエブラが気味の悪い声で笑い出したかと思えば、今のヨエクの状態を説明し出した。
「いや、しかし人の心とは面白いものですね!これ程私が興味をそそられるものはありません!少し弱いところを揺さぶるだけで簡単に落ちていく様と言ったら!ヨエク王も!帝国の王も!ひゃーはっはっは!」
胸糞悪い‥
「お前が元凶なんだな?」
「ははは!何の事ですか?私はきっかけを与えているだけですよ!確かにスキルはありますが、私の本職は進化を求める求道者ですからね!まあ精神面からの進化へのアプローチといったところでしょうか!魂は壊れてこそ強くなるのですよ!」
こいつは倒さないといけない‥
「おっと!喋りすぎましたね。もう少し貴方達と話をしたい気分なのですが、このままだと殺されてしまいそうだ。それはそれで初めての経験なので楽しそうですがね!しかし死んでしまうと戻ってくるのが大変ですし、今回はここまでとしましょう!」
「逃すと思ってるのか?」
俺はエンチャント:穿つ者を発動して、シエブラに魔法を放つ。
「穿て!『氷槍』!」
槍を形取った氷がシエブラに向かって飛ぶ。
「はは。逃げさせてもらいますよ。」
ヨエクの身体の一部である腕が突然伸びて、シエブラを護るように身体を中心にして渦巻いた。
氷の槍はヨエクの片方の腕は貫通したが、もう一方の腕に刺さりその勢いを止める。
「おお、素晴らしい威力だ!ふむ。しかし先程の剣技に高威力の魔法。いささか貴方のスキルが気になるところではありますが‥貴方は放っておくと私の邪魔になりそうですね。やはり戦力を削らせてもらいましょう。」
するとシエブラは近くにあるヨエクの腕に水のような物を振りかけた。
「これはなかなか苦労した品物でしてね。魔肉の血の効果を変化させる物なんですよ。できればその効果を近くでみたいところなんですが‥このままここにいると貴方に殺されてしまいそうですから。申し訳ありませんが、ここまでとさしてもらいましょう。」
シエブラはそう言うと、懐から大き目の魔石を取り出す。
何をする気だ‥?
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