第839話
「マルコイさん。私は貴方の事は危険だと思っているんですよ。光属性が使える程度問題ないとはいえ貴方にはとても違和感を感じるんです。」
光属性が使える程度‥?
俺はシエブラの前で光属性を使った覚えはないぞ?
「それにどうやら光属性が使えるだけではなさそうですからね‥高い剣技に高威力の魔法、それにまだ何か隠してますよね?先程のゴーレムのような物を使った攻撃などもそうですよね?貴方を研究したい気持ちも大きいですが、それ以上に貴方は私の研究障害になり得るかもしれない。やはりここで少しでも消耗させておきたいところですね。」
「なぜお前は俺が光属性を使えると知っている?」
「ははっ!それこそ愚問でしょう。最初から知っていましたよ。見せてもらいましたからね。」
やはりこいつは‥
「何をするつもりかわからないが、お前に聞く事が増えたようだな。本来はすぐにでも倒すべきなんだろうが仕方ない。」
俺がそう告げると、シエブラの口角が上がる。
「残念ですが、先ほども言いましたが私はこの辺でお暇させてもらいますよ。ちゃんとお土産も置いていきますから心配なさらずに。」
「逃すと思っているのか?」
「そのためのスキルをいただきましたからね。」
スキルをいただいた‥か。
やはりシエブラは『あのお方』の配下のようだな。
しかしそうなると逃げるためのスキルを持っていると思った方がよさそうだ。
俺はエンチャント:勇敢なる者を発動させる。
空を飛ぼうが、速さを上げようが逃しはしない。
念のために精霊眼でシエブラのスキルを確認する。
「おっと、何かしようとしてますね。早めに行動するとしましょう。」
ちっ!
やはり気づかれたか!
「ふはははは!それではまた会いましょう!生きていらしたらですけどね!『変換門』!」
「なっ!」
『変換門』だと!?
まずい!
シエブラの身体が淡く光り出す。
くそっ!
まさかスキル『変換門』を持っているとは!
確か魔族のビアルポが持っていたスキルだったはず。
希少スキルだから他に持っている奴なんていないと思い込んでいた。
「ふはははは‥はがっ!」
薄く光を放っているシエブラの腕が吹き飛んだ。
「ぐあっ!な、な、な!」
存在が希薄になりつつあるシエブラの元に、投擲された斧や火属性の魔法、斬撃が迫る。
「ひぃ!」
シエブラは身体を丸めるように座り込む。
残念ながら『変換門』が間に合ったようで、全ての攻撃がシエブラの身体を通り抜ける。
そしてシエブラが立っていた場所にはシエブラの血塗れの右腕と大量の魔石が落ちていた。
う〜ん‥
逃げられてしまったか‥
しかし‥
「ぐっじょぶ!」
俺は仲間を振り返って親指を上げる。
するとみんな親指を上げて返してくれた。
「あれだけ自信満々に逃げるって言ってるから、余程自信のある奥の手なんだろうなって思ったのよ。だから使われる前に攻撃したかったけど、マルコイが情報を集めてたみたいだったし。でもやっぱりキリーエの銃は凄いわね。誰も届かなかったのに、キリーエの銃弾だけ届いたわ。」
確かに。
それに‥
「あのまま逃げられたらモヤッとしたけど、少しスッキリしたわね。」
その通り!
「逃げられたのは俺のミスだ。まさか【変換門】まで持ってるとは思わなかったからな。しかしみんなのお陰で深手を負わせる事ができた。多分すぐ何かしてくる事はないだろう。だから今はこの場に集中しよう。」
ヨエクはシエブラに振り掛けられた水のような物のせいか、まだ動きを止めている状態だった。
今のうちに攻撃した方がいいのか‥?
その時シエブラが立っていた場所にあった魔石が砂のように崩れ落ちたのが見えた。
しかしひとつだけ砂とならずに残っている魔石がある。
あれは‥?
シエブラが【変換門】を使う前に取り出した大き目の魔石じゃなかったか?
ん?
確か等価交換のはずだから、こちらに魔石を置く必要はないはず‥
魔石が淡い光を放つ。
ちっ!
確か言ってたな、お土産を置いていくと‥
向こう側から【変換門】を使って何かを送り込んできやがった。
淡い光が段々と大きくなり、人よりもかなり大きな姿になる。
やがて光が収まり、その中から高ランクモンスターであるアースドラゴンが現れた。
しかしその姿は大地の覇者たるアースドラゴンの威厳はなく、その体躯を紫色に変え狂ったような唸り声をあげている。
「ばっかお前それはダメだろ!」
シエブラのやつめ!
何て物を送ってきやがったんだ!
それはうちのパーティにとって地雷だぞ!
「あーっ!ドラゴンさんがぁ!」
ほら!
うちの腹ペコ大魔王さんにとっては何よりも辛い攻撃になるじゃないか!
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