第488話
ん?
なんだろう‥
物凄く物事が上手くいってる気がする‥
それに誰かがアフロった気がするぞ。
もし魔道具をそのまま使ってアフロった人がいたら、神聖国でもアフロが流行るかな?
まあそれはさておき、ダンジョンの下層の方も改修を始めていくとするか。
しかし神聖国の侵入者のレベルを考えると、まだ簡単にした方がいいのだろうか‥?
次来るのが勇者だとしたら即死レベルの罠なんて設置できるはずがないしな‥
罠は多数設置するとしても怪我しないけど、地味に痛かったりする程度の罠とかがいいのかな?
何も設置しなかったら、勇者に誰かがついて来てたら怪しまれるしな。
決して楽しんでるわけじゃないんだぞ。
あやめのリアクションが面白そうだとか思ってないからな。
床の摩擦を無くして、後ろから風魔法使ったらどうなるかな?
落とし穴に落ちたら、穴の下に跳ねる装置をつけておいて天井にぶつかるとか‥
あと外せないのは、地味に痛いところにダメージだよな‥
考えてたら楽しくなるよな。
あやめたち楽しんでくれるかな。
海を渡る大型船の甲板に黒髪の二人組の男女がいる。
同じ髪色で遠目からは兄弟にも見えるが、近くに寄れば顔の造形が違うため他人であろうと思える。
女の方が男に話しかける。
「ねえ正人。セイルズにはどれくらいで着くわけ?」
すると男が答える。
「あやめが知らないなら、俺がわかるはずないっしょ?あやめの方が俺よりも多く国まわってるじゃんか。」
「それはそうだけど、行ったことあるかなって思っただけよ!あ〜あ、せっかくアースンにまた来れたのに、すぐにセイルズに行かないといけないなんて‥またほとんどまわれなかったじゃない。マルコイもいなかったし。」
甲板にいる勇者一行の2人、スキル【勇者】を持つ五十棲正人と、スキル【聖騎士】を持つ鬼頭あやめは、一緒にセイルズに向かっている神聖国の騎士団に顔を向ける。
いつもは神聖騎士のガーノスがお付きで一緒になのだが、今回は10人くらいの騎士団がついてきている。
それだけ神聖国にとって大事な用事なんだろうなとは、あやめもわかった。
本当は4人で来たかったのだが、スキル【聖女】を持つ一ノ瀬恵は帝国が進軍してきた時に怪我をしてしまい、治療は済んだのだが療養目的で神聖国に残っている。
それと一緒にこの世界に召喚された、スキル【賢者】を持つ財前卓も神聖国に残している。
できれば卓は外に連れ出したかったけど、無理だった。
マルコイに貰った魔道具を卓につけたら、魔道具が赤く光った。
マルコイが言っていた通り、卓がおかしくなったのは洗脳されていたせいのようだった。
マルコイが本当の事を言っているかわからない。
けど、この異世界の中で1番信用できる人とは思っている。
それは恵も一緒みたいだった。
だからあたし達は、この先どうかするかを話し合った。
物凄く悩んだ。
でも2人でちゃんと考えて結果を出した。
それをマルコイに伝えたかったけど、マルコイがどこにいるのかわからないから、今回の旅で会えたらと期待したんだけど‥
ガーノスさんの時だったら、少しは融通が効いたけど、今回ついてきてる人達は全くダメだった。
何を言っても「聖王様に指示されていますから。」って言うだけ。
ロボットかと思ったわ。
だから今回の旅を早く終わらせて、神聖国に戻ってマルコイと会うために今後どうするかを恵とまた話し合わないといけない。
正人達はあたし達に合わせるって言ってくれてたから、ギリギリになって話す事にしてる。
信用してるけど、卓の件もあるし、正人は隠し事ができないから安易に話したら大変な事になるもん。
昔好きな人の事を話したら、次の日には全員が知ってて、正人をボコボコにしたからね。
「お?大陸が見えてきたぞ。あれがセイルズじゃねーの?」
聖王の依頼がどんなのか知らないけど、さっさと片付けてやるわ!
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