第288話

とりあえず急いで装備を整えて甲板に出てみる。


するとすでに目視できる距離までモンスターは迫ってきていた。


一緒に甲板に上がってきた3人も同じようにモンスターを見ている。


「うわ〜大きいイカや。」


「ほんと。流石にイカが大きくなると気持ち悪いわね。」


サイズ的にこの船より大きいくらいのイカが此方に迫ってきている。


確かクラーケンって名前だったか。


けっこう距離があるけどかなりの大きさだ。


まだ此方に到着するのに少し時間がありそうなのでとりあえず鑑定してみる。


キング・クラーケン

スキル【水流操作】【属性魔法:活水】


ふむ。

キング・クラーケンか。


イカとかタコの王様ってとこだな。


しかしあんな物が突っ込んできたら流石にこの船を無事には済まないんじゃないのかな?


この船の装備でどうにかなるのだろうか‥?


するとこの船の船長らしき人が大きな声で甲板にいる人に向かって問いかけだした。


「すいませんっ!この中に遠距離攻撃ができる冒険者の方はいらっしゃいませんか!」


ん?

嫌な予感がするな‥

もしかしてこの船の装備じゃ追い払う事ができないんじゃ‥


「何故遠距離攻撃できる人が必要なんですか?この船にこんな時のための装備とかは準備されてないんですか?」


「申し訳ありません。海のモンスターは基本的には自分より大きな船を狙う事はありません。そのためこの船を襲ってくるようなモンスターは今までいませんでした。しかし今迫ってきているモンスターはこの船より大きなモンスターです。私共も初めて見ましたが、おそらく自分より小さな船を餌と思っているようです。なのでこちらから攻撃して食べれない若しくは食べるのに苦労すると思わせれば追い払えると思います!」


うん。

結論この船には何も装備がないってことなのね。

しかし何も自分たちが乗っている時に襲ってこなくても‥

トラブルに巻き込まれやすいのか‥

いや、やっぱりイカの干物の呪いかもしれん‥


何人かが手を挙げて遠距離攻撃の準備をしている。


もちろんアキーエもだ。


そして遠距離攻撃の射程内までクラーケンがやってきた。


各々遠距離から攻撃できる手段で船から攻撃を始める。


弓矢や火魔法、風魔法などを放つが水が邪魔してほとんどダメージを与えられていないようだ。


そして本命の出番。

アキーエが魔法を放つ。


『弾けよ!灼熱の炎矛!』


アキーエの魔法がクラーケンに突き刺さる。

しかしやはり水が邪魔していつもより魔法が弱体化している。


「ふん。一発がいつもの半分の威力なら倍魔法を放てばいいでしょ。」


『弾けよ!灼熱の炎矛!』

『弾けよ!灼熱の炎矛!』

『弾けよ!灼熱の炎矛!』


おおう‥

物すごい回転率で魔法を放ってらっしゃる。

周りの魔法使いさんが呆然として見てるぞ。


クラーケンも中々のダメージを受けているようだ。

しかしこれって余計に怒らせないか?


とりあえず様子見してくるか。

問題なければ俺が引きつけている間に船には逃げてもらおうかな。


俺は側にいるミミウに声をかける。


「ちょっとクラーケンの近くまで行ってくる。もしクラーケンが攻撃してきたらミミウ頼めるか?」


「任せといてください〜!ノームさん船の上でも問題ないみたいですから!」


「わかった。あと船長さん、俺がモンスターを引きつけておくから船を進めてください。」


「え?は、はいわかりました‥」


船長の返事を聞いた俺は船尾に走る。


そしてそこからクラーケンのせいで荒ぶっている海に向かって飛んだ‥


「そ、そんな飛び込んだ?」


船長さん心配かけてごめんなさい‥


俺は空間魔法を使い海面に空気の床を作り出す。


そしてその上をクラーケンに向かって走り出す。


真っ直ぐに向かうとアキーエの魔法に当たってしまいそうだったので船尾から円を書くように近寄る。


さてさてクラーケンさんとご対面といきますかね。

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