第879話
「ミミウさんや。ミミウさんはどうやって地竜を見つけているのかね?」
「地竜さんですか?ノームさんたちが教えてくれるですぅ!」
なるほど。
しかしノームがいくら精霊と言っても出来る事と出来ない事があるとは思うのだが‥
「ノームさん、他の土地にいるノームさんとお話してくれるんですけど、どこかで見かけたよって教えてくれるですぅ!」
おお、新情報。
なるほど。
むやみやたらに探すのではなくて、目撃情報を元に探しているわけか。
「それでそのノームさんも一緒に来てもらって探すですぅ!そして見つけたらそのノームさんもミミウについてきてくれるですぅ!」
ほうほう。
ミミウと一緒にいる精霊がどんどん増えているのは、そんな理由があったんですね‥
ミミウがいつの間にか強くなっているのは、ノームが増えて戦い方に幅が出来たからと思ってはいたが、まさかノームの方からついてきてるとは思わなかった。
「わかった。ありがとう。少し謎が解けた気がする。ところでこのお肉はどうするんだ?」
「とれたてだから、みんなで美味しく食べるですぅ!」
とれたてってあんた、野菜じゃないんだから‥
「そっか、とりあえずすぐ出来るのは焼肉だけど、それでいいか?あと手を加えた料理は作りながら考えるとしよう。」
「わーい!焼肉ですぅ!」
俺は『スペース』から大きなバーベキューコンロを取り出す。
そして吊るしてある肉の部位を切り分けて、コンロの上に並べていく。
匂いを嗅ぎつけたのか、家の中にいたアレカンドロたちも外に出てきた。
「な〜んか美味そうな匂いがしてるっぽいんだけど‥?うおっ!焼肉じゃん!めっちゃ好物なんだけど!」
声で正人とわかるが、何故お前は誰かわからないくらいそんなに包帯ぐるぐる巻きなんだい?
正人と一緒に出てきたベアトリスさんが手に包帯を持っているのを見て合点がいった。
愛のグルグル巻きなんだな。
爆ぜよ、人生謳歌者よ!
わらわらと出てきたが、キリーエと卓がいない‥
あとは‥
「マルコイ様!おかえりなさーい!」
俺は物陰から飛びかかってきた襲撃者の顔を鷲掴みにする。
「恵‥何故俺の呼び方がマルコイさんから、マルコイ様に変わってるんだ?」
俺は顔の締め付けをきつくしながら恵に問いかける。
「がっ、あ、あやめと話をして、マルコイ様がどれだけ素晴らしくて、どれだけ私の推しなのか再認識したからです‥がっ!」
ふむ。
聞き慣れない単語があったな‥
「恵‥推しって何だ?」
「お、推しは自分にとって特別な存在で、それをどんな形でも応援する事です‥ぐはっ」
ふむふむ。
意味がわからん。
まあ一緒にいて頑張っていこうってことかね?
手の中でビクンビクンしてきた恵を離し地面にそっと置く。
とりあえず意味がわからんから強めに締め上げたが、やりすぎた感はあるな‥
「うらぁ!」
恵を地面に置いた隙をついて、玄関から出てきたあやめが突然槍を振るってきた。
「ぬおっら!」
海老のように腰を引いて正確に鳩尾を狙ってきた、あやめの槍の突きを躱す。
「なにすっだお前!危うく身体に風穴空く所だったじゃねーか!」
「ちっ!空けばよかったのに!」
「なんでだよ!何の恨みだ!?」
「あたしの親友をおかしくした罪よ!返してお淑やかだった恵を!」
そんな大しておかしくなってないだろ?
少し変かなと思う事もあるけど‥
割と最初からあんな感じじゃなかったっけ?
「やめてあやめ!あ!やっぱりやめないで!怪我したマルコイ様を治療するのもぐふふふふ‥」
あ、ごめん変だったよ。
見て見ぬふりしてたけど、やっぱりだいぶ変になってるようだ‥
「まあなんて言うか、それがもともとの恵だったんじゃね?」
包帯男が話に割り込んできた。
「正人、どういうことよ!」
「いや、恵が自分でもわからない長い期間、恵ってのを演じてたんじゃね?それって多分みんなの期待に応えるためだったっぽいけど。そんでマルコイさんっていうきっかけでそれが表面に出てきたっぽいみたいな。だから、もともと恵はそんな一面を持ってたんじゃね?」
むう。
正人のくせにまともな事をいいよる。
包帯男のくせに。
「ぐぅ‥わかってるわよ!あたしは恵が誰かを好きになったなんて話を聞いたことがなかったもの‥だから初めて人を好きになった恵が自分を抑えきれなくなったんだなって。でも‥‥でも何もこんな風にならなくてもいいじゃない!」
あ、それは激しく同意だな。
地面に崩れ落ち、地面を叩いているあやめに恵が近づく。
「あやめちゃん‥‥推しは正義よ。」
「ほらぁ!」
うむ。
正人の言ってる事もあながち間違いじゃないのかもな。
まあ勇者たちの問題は勇者たちで解決してくれると助かる。
「マルコイさーん!お肉おかわりですぅ!」
俺は先にこっちの問題を解決しとかないといけないからな。
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