第592話

ノギスが気持ち良くボコボコになったところで、模擬戦はお開きとなった。


ボコボコになったノギスはキリーエのポーションで回復してた。


「くっそー!覚えてろよアレカンドロ!」


うん。

まだまだ元気だ。


「リルもおぼえとく。」


「いえ!リルさんは忘れてもらって大丈夫っす!」


リルには捨て台詞は吐かないらしい。



いい感じで自信がポッキリ折れたようだ。


常に自分より強いやつがいると思っていないと成長しないぞ。


まあ俺もリルとの模擬戦は遠慮したいんだけどね。


強くなるために必要だとは思うんだけど、昔の恨みをぶつけられそうで怖いです。


まあスキルを使っていないとはいえ、アレカンドロとはいい勝負をしてたからノギスもかなり強くなったみたいだった。


でも勘違いするとリル先生が飛んでくるから覚悟しておいた方がいいぞ。



とりあえずみんなで家の中に入り、これまでの話を聞く事にした。

もちろん俺たちの話については要所要所はぼかしている。


全部知ったら巻き込んでしまいそうだからな。

まあノギスは喜んで付いてきそうだけど。


そのノギスは今‥


ベアトリスさんのフライングティーポットの洗礼を浴びていた。


「うわっちゃい!」


「ああ!すみませんすみません!」


安定のドジっ娘だな‥



ノギスのモテっぷりは俺の予想で大体あっていた。

ワイバーンがロッタスに飛んできた事があったそうだ。

普通であれば騎士団により討伐されるのだろうが、たまたま近くにいたノギスがパーティメンバーと共に討伐したらしい。


そこまではよかったのだが、ちょうどそこに避難できなかった若い女性がいて、偶然にも助ける事になったらしい。


そこで終わればよかったものの、女性を助けたところが男らしいなどと有名になり、ついには演劇にまでなったらしい。


それで今のモテっぷりに繋がったとの事。


けっ!


「そうか。でもナーシスなんかも大変だったろ?ノギスがそんな風になって。」


「え?私ですか?ん〜‥特になにも?あ、でも宿の前に人だかりができるのは邪魔でしたね。」


「そ、そうか‥でもノギスがモテているのを見てこう何と言うかモヤモヤみたいな?」


「え?そうですね‥誰かいい人がいればいいねとは思いましたけど‥」


ナーシスの言葉を聞いてガックリと肩を落とすノギス。


すまない、これはわざとじゃないぞ。

がんばれノギス。





「そういえば他の冒険者の人たちはどうしてるんだ?」


「そっすね。バラックスさん達は相変わらずっす。多分マルコイさん帰ってきたの聞いたら飛んできますよ。」


それはアレカンドロに任せておこう。


あとリルもいるからな。

俺のところに辿り着く事はないだろう‥と思う。


「アマンダさん達は‥パーティを解散したっす。アムテルさんが戦えなくなってしまって‥」


そうか‥


アムテルさんは魔族であったガルヘアに過剰なまでの暴力を振るわれ、精神に傷を負っていた。


アマンダさんはしばらく様子を見ながらやっていくと言っていたが、回復できなかったんだろうな‥


「店をやってる奴らなんかは前のままっすよ。よかったら会いにいってやってください。ナーシスのダチなんかは喜ぶと思うんで!」


ナーシスの友達ね。

アリアも元気でやってるみたいだな。


相変わらず店はごちゃごちゃしてるのかね。


ノギスの話を聞いていると、獣人国に戻ってきた事を実感できた。


時間を見つけてみんなに会いに行くとするかな。


「兄貴はロッタスに戻ってきたって事は、ここを拠点に今後はずっと活動していくって事っすよね?」


「ん〜、そうだな。何もなければ多分ここを拠点にすると思うぞ。それでも色々やることがあるから、不在にする事もあるとは思うけど。」


神聖国やらドワーフの国やら行ってみないといけないだろうし。


「マジっすか!じゃあちょくちょく寄らせてもらうっす!」


「ああそうだな。構わないぞ。」


ノギス用に魔道具を考えるのも面白そうだしな‥

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