第738話
「ところでマルコイ。さっき言ってた爆発した事に心当たりがあるってどういう事?」
「ああ、その件ね。アキーエは俺の木偶爆弾が何故爆発するか知ってるか?」
「え?マルコイのいつも使ってる瓢箪みたいな形の投げるやつでしょ?何って‥‥魔法とか?それとも魔石?あ、わかったドラゴンのブレスとか!」
うんうん。
いつもは使ってないからね。
それに説明してなかった俺も悪かったけど、そんな物入れてたら投げる前に爆発しますわ。
それにドラゴンのブレスって‥
‥‥‥‥でも何か面白そうだな‥
どうにかして魔道具にできないかな?
いやいや、そうじゃない。
「あれは火薬ってやつを使ってるんだ。ただ俺が作ってるやつはスキルを使って威力を高めているんだけど、普通の状態でも火をつけたら爆発するんだ。」
「なるほど!それじゃわたしを監視していた人が火薬を持っていたって事なのね。」
「ああそうだ。そうなんだけどね‥」
多分それで間違いないが‥
「どうしたの?疑問が解けて納得って感じじゃないみたいね。」
「ああ。問題は爆発したのが火薬って事じゃなくて、その監視していた奴らが火薬の用途を知っていて持っていたかどうかだな。」
もし火薬と知って持っていたのであれば‥‥
それはドワーフが火薬を使った武器を持っているって事だ。
火薬の威力は木偶爆弾を作っている俺が1番よく知っている。
下手な魔法なんかよりも威力があり、何より誰でも簡単に扱える。
トールルズが武器や魔道具を独自に開発していたのは何となくわかっていた。
王様の会話の中で、対魔族用の魔道具を開発したと言っていた。
そんな物を何も下地のない状態で作れるはずがない。
しかしそれが魔道具だけじゃなく、火薬を使った兵器まで作っているとなると俺の予想を上回っている。
「もし最悪トールルズが銃の作成まで漕ぎ着けているのであれば、王様の救出の難易度が急に上がる事になるな‥」
「なんで?銃って言っても魔法の方が強いんじゃないの?」
「それはどうかな‥単純に威力だけで言うならアキーエの魔法の方が強いと思う。だけど魔法には魔力を練るって作業が必要になるだろ?もちろん魔力を練った時点で相手に伝わる。だけど銃は構えて撃つだけだ。威力は魔法に劣るかもしれないけど、喰らったら戦闘を続ける事は難しいだろうな‥」
「それは‥確かにそうかもしれない‥」
「それにいつ撃たれるかわからないし、目視できないところから撃たれたら防ぎようがないだろ。魔法は魔力の流れでわかるけど、銃はわからないからな‥」
「で、でも魔法で防ぐこともできるんじゃない?」
「そりゃ防げるさ。ずっと警戒してたらな。人はいつ撃ってくるかわからない状態で長い時間気を張っておく事なんてできない。アキーエは感知系のスキルを待っていないから俺と行動しよう。2人で行動できないのは効率が悪いけど、安全を取ろう。」
「わかったわ。ごめん、街に入るのキリーエがよかったわね‥だったら2人でわかれて情報を集められたのに‥」
「気にするな。それに相手の強さがわからないんだ、キリーエがいたとしても1人で行動させるわけなはいかなかっただろう。」
キリーエは隠密には優れているけど、武力となると爆殺女神のアキーエじゃないと不安がある。
アキーエも街を荒野にするくらいの勢いで戦えば、相手が銃だろうと関係ないとは思うけど‥
ふむ。
やりそうだな‥
やっぱりアキーエは1人で行動させると危険だ‥
「今何か失礼な事考えたでしょ‥」
アキーエがジト目でこっちを見てくる。
最近勘が鋭いよねアキーエさん。
「あ〜あ、張り切って街に入ったけど残念だわ。キリーエがどうにかして街に入れるといいんだけどね。」
確かにそうだな‥
やっぱり今から転移で街の外に出て、キリーエと相談するか‥
「そんならうちとアキーエちゃんが一緒に行動すればええんやね。」
‥‥‥‥‥‥‥っ!
び、びっくりした‥
心臓が一瞬止まった気がする‥
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