第885話

「とりあえず前回は木で作った鎧だったからな。強度も魔力回路頼みだったし、それ以外の回路があまり取り付けれなかった。今回は金属を使う事ができるし、希少金属もたっぷりあるから思い切った改造というか、別物を作る事ができそうだ。」


衝撃の度合いによって、どこの部分を爆発させるか選べるようになれば面白いよな。


攻撃を受けたら反射的に相手に爆破を浴びせて、座り込んだら、小さな爆発で無理矢理立たせたりするのも面白い。


そしたら理想としていた新たな戦い方をする事が出来るんじゃないだろうか?


名付けて、『転がってもすぐ起きて隙なんか見せない拳』が。


研鑽していけば、おそらく自分から倒れ込む事で攻撃を躱し、すぐその場で起き上がって攻撃をするという最強の攻撃が出来るはずだ。


おお、考えただけでわくわくしてきたぞ。


「よし!考えるよりまずはやってみよう!いくぞ『創造:鎧』」


頭の中で『転がってもすぐ起きて隙なんか見せない君』を想い描き魔力を練り上げる。


ぐおっ!

なかなかの魔力消費だ‥

初めて創る物だしな。


「マルコイ神様!爆発に関してですが、より威力を上げるために火薬だけではなく燃料ガスなどを一緒に入れてみてはどうでしょう?火薬の威力だけではなく、燃料ガスを入れる事で火薬が燃える事でガスが膨張して、体積は凄まじい量になります。それが指向性を持って放たれるのであれば、大概のモンスターは倒せるのではないでしょうか?」


なるほど!

だったら火薬を半分と可燃性のガスを入れてみる事にしよう。


以前使っていた木製の鎧と違って、気密性が高い金属製の鎧を創る事ができるからな。


これなら威力も増して、言う事なしなんじゃないか?


魔力はセイルズに転移した時よりもごっそりと持っていかれたが、その甲斐あって細かい丸みの部分がある金属製の鎧が出来上がった。


「ふう‥1つ創るのにこんなに魔力を使うとは‥まあ鎧の中に芸術的な爆破を込め込めしたからな。」


ちなみに燃料ガスはメタンガスを使ってみた。

メタンガスは炭素と水素の炭化水素化合物の一種だが天然ガスで俺が『スペース』の中に入れている材料で創る事が出来た。


「よし、これに起爆用の魔力回路を取り付けて‥金属の強度はミスリルにオリハルコンも使ってるから、そこまで強化する必要はないし‥強衝撃で指向性のある爆破、弱衝撃で身体を浮かせる程度の爆破にして‥」


「マルコイさん‥俺帰ってもいいですか?もう悪い予感しかしないんですけど‥」


「何を言うかねラケッツさん!もう完成するから、これをつけてモンスターのいる場所に突っ込もうじゃないか!」


「嫌だー!そんなの死んでしまうー!」


「何言ってるんだラケッツさん?モンスターの群れに突っ込んでも死なないように鎧を作ったんだぞ?死ぬはずないじゃないか。」


「嘘だー!モンスターにやられなくても、マルコイさんの鎧で死ぬんだー!」


ええい、うるさい。


「大丈夫だラケッツさん。多分‥‥死なない?」


「何で疑問形なんですか!?死ぬんですか?俺死ぬんですか?」


う〜む‥

今回鎧を金属にした事で、耐久性は上がったと思うけど、それに比例するように爆破力も上がったからな。


爆破に指向性を持たせてるから、死ぬことはないと思うけど‥


「大丈夫だラケッツさん。大丈夫だ。」


「まるで大丈夫じゃないー!何で2回も言うんですか!」


「気にしない気にしない。イーキェさんも応援してるから頑張って!」


「うっ‥ま、まあ確かにイーキェさんは応援してくれてたけど‥」


ふむ。

チョロい。


ラケッツさんはイーキェさんの事で少し持ち直したのか、渋々言いながらも鎧をつけはじめた。


「よし。そしたらとりあえずモンスター討伐に行こう!挑戦して失敗したら、調整してまた挑戦。これを繰り返す事で魔道具はより良いものになっていくのだよ!」


「その一回の挑戦が危険なんですけど‥」


そうとも言う!





とりあえずラケッツさんを連れて秘密基地の近くにある森に入り込んだ。


この森はゴブリンやオークがほとんどで、それほど危険度が高いモンスターはいないのだが、稀にオーガが発見された事もあるそうだ。


オーガならノーマルラケッツさんなら無理だろうな‥


でもそれを可能にするのが『ラケッツさん敵陣で大爆波鎧』だ。

あ、名前変わっちゃった。

つい本音が‥


「ラケッツさん。早速試してみよう。俺たちは少し下がってるから、ラケッツさん1人でモンスターと戦ってくれ。大丈夫、この森にいるモンスターの攻撃が鎧の強度を超えることはないから。」


「う〜‥は、はい。」


ラケッツさんは恐る恐るモンスターがいそうな場所に進んでいく。


あれ?


そういえば、火力を増やす事ばっかり考えてて、衝撃を吸収する事を忘れてたような‥


「あ、ラケッツさ‥」


その時、森に閃光が走った‥










----------------------------------------------------------------------

〇読んでくださった方へ

よろしければ、星をポチッとしていただけると、とても嬉しいです。

今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします~!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る