第881話
ドラゴンステーキのアヒージョはミミウはもちろん、アキーエやあやめたちにも好評だった。
なんでもあやめ曰く、元の世界でもこんなに豪華で美味しいアヒージョ食べたことがないと怒られた。
何故怒られたかは謎だ‥
もちろんミミウの怒涛のおかわりがあり、オリーブオイルが『スペース』に入ってる分では足りなくなったので、オリーブの実からオイルを作る事になりそうになり、あの搾る工程に腕の死を覚悟することになった。
数日は動けなくなる覚悟をしていたが、そこに打ち合わせが終わったのかキリーエが戻ってきて、キリーエのスキル【ボックス】の中に入っている大量のオリーブオイルを出してもらう事で事なきを得たが。
ミミウさんに料理を作る時は、ちゃんと材料の在庫を確認する事を堅く誓う事となった。
とりあえずミミウのお腹も少しは落ち着いたようで、恵と交代して俺もステーキのアヒージョを楽しむ事にしよう。
ふむ。
ドラゴンステーキににんにくと鷹の爪を炒めた辛口の香味オイルがしっとりとからんで美味い。
この香ばしさとピリ辛の味つけが冷やしたエールに合いそうだ。
そのままでも無類の旨さを誇るドラゴンステーキだが、ちょっと一手間加えるだけで、また違った味わいがあって素晴らしい。
いつもミミウに追いかけ回されている地竜だが、この旨さを考えると致し方ないと思う。
絶滅しなきゃいいけど‥
お酒を楽しんでいたところに、爆ぜるべき人生謳歌者が来た。
「マルコイさん、ちーっす!やっぱ焼肉はサイキョーっすね!」
隣ではベアトリスさんが包帯人間正人に同意するように頷いている。
てかお前は顔まで包帯でぐるぐるにされてるのに、どうやって食べたんだ?
「まあ肉がよかったからな。何度食べても地竜は上手い。ミミウに感謝だな。」
「うっそ、マジで?今食べたのって地竜?ドラゴン食べるとか、俺マジすげー。」
正人たちの世界にはドラゴンやモンスターはいないからな。
まあ俺もミミウがいなかったら、ドラゴン食べてないとは思いますけど‥
「ところで話は変わるけど、賢者は何してるんだ?」
「賢者?あ、卓ね。この家にある魔道具見てたら、何かマルコイさんの魔道具の真髄に近づきたいとか言って、セイルズに行ったっぽい感じ?」
いや、行ったっぽいじゃないだろ‥
お前たちは一応勇者だし、そんなに簡単に国境越えたりしたら問題になるんじゃないのか?
「卓があんな風に行動するなんて、ずっと一緒にいたあたし達も初めてみたわ。でもさすが卓っていうか、自分が動くために障害になるものを一つ一つ解決して、最速でセイルズに向かったわ。」
あやめがそう言って、デッカい骨付き肉を齧りながら近寄ってきた。
お前そんなデカい骨付き肉どうしたんだ?
恵は細かく切って焼いてたと思うんだかだ‥
肉を吊るしてる方を見てみると、恵とアキーエが肉を切り分けていた。
あ、なるほど。
アキーエさん、肉を焼く時は鉄板で焼いてくださいね。
魔法で焼こうとすると大惨事になりますから‥
「セイルズに行くための障害?お前たちが勇者だって事だろ?難しいんじゃないのか?」
俺たち冒険者と違って正人たちは国境を越えるための身分証がない。
俺と一緒の時や神聖国から抜けた時は違法に国境を抜けたが、卓1人では難しいだろう。
「卓ってば、セイルズに行きたいって獣王様に直訴しに行ったのよ。」
「なっ!?」
まさか卓にそんな行動力があるとは。
1人で「ふぉー!」とか言ってたから、人とまともに話せないと思ってたよ。
「それであまりにも卓がしつこいから獣王様も根負けしたみたいで‥それにホット商会の後押しもあって、獣人国を抜けるまでは獣人国の護衛がついて、セイルズについたらイケオジさんがいるアウローラの人が護衛につくって事で解決したみたいよ。」
何やってんだよ、ホット商会‥
まあ勇者って立場だから、行方不明にでもなったら大事だしな‥
「しかしそこまでしてセイルズに行かなくても‥」
「あたしもそう言ったんだけどね。マルコイが帰って色々聞けばいいじゃないって言ったんだけど、今行くべきだと僕のパトスが‥とかよくわからない事言ってたわ。」
ふむ。
まああいつは見どころのある奴だったからな。
正人たちの装備も卓と話をしながら決めるとするか。
「わかった。明日にでもセイルズに行って様子を見てくる。」
「はぁ‥どうせ魔法で一瞬で向こうに行くんでしょ?良いわよね、チートは。まあいいわ。あんたがどっか行ってる間に、何としても恵を元に戻してやるから!」
いや、それは俺がどうにかしたわけじゃないし、できればこっちからお願いしたいところではあるのだが‥
まあその辺の問題は勝手にお願いしておくとして、明日から早速魔道具作りに励むとするか!
「マルコイさん!ステーキが食べたいですぅ!」
あ、はい。
すぐに作ります‥
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