第193話
ギルドまでの道を歩く。
街は騒然としている。
そりゃそうか、オーガキングが現れたって話だから災害が起こったみたいなもんだよな。
もしかしてSランクが不在なのが噂で流れたりしてるのだろうか‥
ギルド前に着くと人でごった返していた。
主に闘技会を見にきた冒険者なんだろうが、闘技会に参加していた人もちらほら見かける。
冒険者たちの顔ぶれを見ていると1人やたら眩しい人がいる。
あの光は見覚えがある。
ま、まさかあの人がこの国にきてるのか!
駆け寄りたい気持ちを抑えて確かめるために近づいてみる。
しかし目を凝らしてみると眩しい頭の上にちょこんと犬耳が乗っている。
その人物がこちらを振り向く。
「おっ!マルコイじゃねーか!やっぱりお前も参加するんだな!」
ちぇっ。
脳筋バラックスさんだったか‥
そりゃそうか、あの人はまだ王都にいるだろうしな。
少し王都を懐かしく思ってしまった。
「参加しますよ。てかバラックスさん頭どうしたんすか?随分とさっぱりしてますけど?」
「ああ、これか。お前にやられてもっともっと強いやつはいるんだなって再確認してな。ちょっと気合を入れるために剃ってみた。」
なるほど。
しかしスキンヘッドに犬耳がちょこんと乗ってるといい歳したおっさんなんだが、可愛く見えてしまう。
「はは。よく似合ってますよ。ところでバラックスさんたちもパーティで参加するんですか?」
「ああ。闘技会に出てる冒険者はほとんどパーティと一緒にきてるからな。ほぼ全員のパーティが参加するようだぞ。」
ここ獣人国で活動している冒険者もいるから国を守るために参加するよな。
「俺たちもパーティで参加しますよ。ギルドマスターからオーガキングの討伐に参加して欲しいと言われましたから。」
「なんだ〜、お前もオーガキング討伐かぁ。Aランクパーティはオーガキング討伐に協力して欲しいって言われたけど、お前らが討伐に当たるなら出番ないじゃねえか。」
「いやいや、そんな事ないですって。俺たちは討伐者たちのフォローに当たってくれって事でしたから。」
「はあ?今、闘技会が行われているこの国で5本の指に入るような強さを持ったやつをフォローに回すなんてギルドは何考えてるんだ?」
「俺たちのランクがBランクだから他の冒険者の手前そうなったみたいですよ。でも倒せそうなら倒してもらっていいって言われましたけどね。」
「はっ!そんならやっぱり俺達の出番はないじゃねえか。まあいいや。今回はオーガの上位個体でも狙うとするかね。」
するとバラックスさんの頭が勢いよく叩かれた。
バラックスさんのパーティメンバーのシクーさんだ。
「あんた少し前にオーガジェネラルに殺されかけたの忘れたの?今度はオーガキングなんだから、マルコイ君に任せるんじゃなくて皆んなで協力して倒すんだよ。」
「なんだよ。結構前の話じゃねえか。今度はそんなヘマしねえよ。でもそうだな。とりあえずオーガキングがどの程度か見てからでも遅くないか。」
そうか。
バラックスさんでもオーガジェネラルにやられそうになった事があるのか。
ならオーガキングとなるともっと強いんだろうな。
俺はアキーエとミミウに目配せし絶対に油断せずに討伐に当たるよう決意するのだった。
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