第267話

俺とアキーエ、キリーエは会っておきたい人が冒険者ギルドにいるので3人で一緒に行動する事にした。

ちなみにミミウは西方広場に会いたい人がいるとの事で別行動だ。

たぶんフライドポテトの店だな。


冒険者ギルドに着き、受付をしている人の中から目的の人物を探す。

すると相変わらずガチムチのおっさんが受付に座っているのが見えた。

王都の冒険者ギルドの受付に美人は座っていない。

問題が起こった時に解決できるよう年配の人が多いのだ。

その中でもガチムチで強面のおっさんは異質なようでそのおっさんの前には誰も並んでいない。

他の受付にはちらほら人が並んでいるのにだ。


「バーントのおっさん!久しぶりだな!」


俺は受付に座っているガチムチの強面おっさんに声をかける。


「ん?おっ!マルコイじゃないかっ!久しぶりだな!こっちに戻ってきたのか?」


声がデカいな!

でも懐かしさもあってか嬉しく思える。


「いや、戻ってきたわけじゃないんだが近くを通る事になったからな。王都に寄ったついでに挨拶にきたんだ。しかし相変わらずおっさんの受付誰も並んでないな!変わらなすぎて笑えたよ。」


「そんな事ないからね。いつもは毎日大盛況だよ!おじさん優しいから冒険者から信頼されてるからね!」


相変わらず面白いガチムチのおっさんだ。


「ところでマルコイ。お前闘技会で優勝したらしいじゃないか!ここにいた時はCランクだったお前がまさか獣人国の闘技会で優勝するとは思わなかったぞ!」


「いろいろあったからな。まあ運がよかったのもあったと思うぞ。」


「そうか。しかし今年の闘技会優勝者の名前がマルコイって聞いた時は同じ名前の人だよなって思ってたけど、容姿が銀髪の眠そうな若い青年って聞いた時はそりゃ驚いたぞ。こりゃお前しかいないってな。あっはっはっは!」


「そりゃよかった。これで俺みたいな冒険者を育てたんだぞって自慢しながら後任の美人さんに受付業務を譲れるな。」


「何言ってんのぉ!おじさんは死ぬまで受付するんだよ!誰にも譲らないんだよぉ!」


ふむ。

やっぱりギルドの受付はこうじゃないとな。


‥‥いやまてまて!

俺が望んでたのは美人な受付のお姉さんだったはず。

いつの間にか筋肉に毒されていたようだ‥


「もうおじさん相変わらずやね。」


「えっ?キリーエも一緒なのか?お前はてっきり獣人国で商売してるもんだと思ってたんだが。」


「実は今マルコイさんたちのパーティに入れてもらって一緒に行動してるんよ。いろいろ刺激があって楽しいし、私たちで作った商会もあるんよ。」


キリーエも久しぶりに会う知り合いだからかとても嬉しそうだ。

楽しく旅をしているように見えてやっぱりどこか思索に耽るところがあったからな。


「ところで近くを通るって事はロンギルにでも行くのか?」


「おお!おっさん見た目とは違いやはり思慮深いな。」


まあそんなところだ。


「あ!思ってる事と口に出す事間違えた。」


「おいー!そんな事思ってたの?普段からそんな事思ってたの?」


えーいうるさい。

ちょっと間違えただけだろうが。


「しかしマルコイ‥しばらく見ない間に見違えたな。随分と身体つきも逞しくなったし顔も精悍になったな。」


「ん?そうか?そういえば俺たち3人ともAランク冒険者になったぞ。」


「なっ!アキーエとミミウもか?」


「ああ、そうだ。いろいろあったからな。まあ闘技会で優勝したってのも大きいけどな。」


「いやそれにしたってお前‥ロンギルには急ぎなのか?今日くらいはこっちに泊まるんだろう?」


「そうだな。一応今日はこっちで泊まるつもりだぞ。」


「そうか。それなら久しぶりに飲めるな。お前らにそのいろいろあった話を聞かせてもらおうか。」


「ああ。しかし明日には出るから、あんまり深酒できないからな。それとサベントさんに会う事はできるか?」


「すまんな、ギルドマスターは城に召集されてて不在なんだよ。今日戻ってくるかも難しいかもな。」


「なるほど。来た時がわるかったな‥いい、また帰りにでもまた寄るから。そしたらまた夕方な。」


マルコイたちは別の知人に会うためにギルドを後にした。

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