第950話
とりあえず爆発した上に、嵐の豪風で宙を待っているラケッツさんは置いておいて、魔王と正面から対峙する。
さてどうしたもんか‥
まあ考えても埒があかないしな。
いつものように相手が倒れるで戦うしかないだろ。
俺は魔王に飛ばされた剣を拾い上げて正眼に構える。
「しゃあ!」
魔王向かって駆け出す。
魔王は迎撃するためスキルを変更したのか、鎧の小手から剣を生やした。
「おらっ!」
魔王に剣を振り下ろす。
その直後に上空から特大の雷が降ってきた。
「ぶわっ!」
俺は慌てて後退する。
「ぐがぁっ!」
雷は魔王に直撃して煙を上げる。
「よし、ヒット!マルコイ囮ありがと!」
「バカかお前!囮じゃねえよ!本気で攻撃しかけたタイミングだっての!」
「いいじゃない、マルコイだから当たっても平気でしょ。それにずっと躱されてたからフラストレーション溜まってたのよ。」
お前ら俺を何だと思ってるんだ?
何度も言わせるな、俺の作った魔道具だぞ。
こんがり焼けるに決まってるだろうが!
しかしやはりと言うか、この嵐の中で攻撃を見る事はできないようだな。
あやめの攻撃と連携すれば追い詰められる。
‥‥‥連携できるかな‥?
突然俺の頭を掠めるような光束が走る。
光束は雷に打たれて動きを止めている魔王の頭部に当たり、魔王が弾き飛ばされる。
「すまん、マルコイ。嵐であまり見えなかったが、大丈夫か?魔王には当たったようだが‥」
「おう、ガッツォさん。魔王にドンピシャ当たったよ。俺の頭も持っていかれそうになったけどな。」
「お、そりゃすまん。この嵐で視界が悪くてな。」
なんだ?
俺の敵は魔王だけじゃないのか?
味方が敵に見えてきたぞ‥
魔王に目を向ける。
魔王は片膝をつき、立ちあがろうとしていた。
「秘技!空中乱舞!」
魔王の目の前に魔力で繋がれた腕が現れる。
剣を持った自立した腕は、魔王の身体を斬り刻もうと踊りだした。
魔王は襲ってきた剣を自身の小手から生えている剣で薙ぎ払い、その場から後退する。
「まだまだ!どんどん行くぞ!覚悟しろ魔王!」
ラケッツさんの声と共に、剣が魔王に襲いかかる。
俺は声のした方に目を向ける。
すると遥か上空でおかしな格好をしたまま漂っているラケッツさんがいた‥
嵐に巻き込まれて上空を飛んでいるが、時々爆発して更に上の方に上がっている‥
「ふはははは!これぞ真の遠距離攻撃ぃぃぃ!まさか上から攻撃されるとは思ってもいなかっただろう!」
いや、自分で飛んでるみたいな言い方されても‥
それに空中にいたら良い的になるぞ。
試しに何か投げてみるか‥
「ぐわっ!」
俺が投げる前に、飛んできたでっかい木が頭に当たって悶絶してるんだが‥
まあいい。
敵か味方かわからんのと、戦力になるのかよくわからんやつだが、予想ができない分魔王に届くはず。
魔王は両小手についている剣を両手を使い引き抜く。
引き抜かれた小手からは、新しい剣がまた生えてきた。
4刀流ってところか?
剣を構えて俺に向かって走り寄ってくる。
その魔王の目の前に上空から雷が落ちる。
直撃はしなかっものの、魔王の足が止まる。
雷が起こした煙が嵐の中に舞い上がる。
その煙の中から、光束が魔王目掛けて襲いかかる。
魔王は剣を交差させ、光束を上空に逸らす。
すごいな!
こんなに普通に連携できるとは思わなかった!
光束を上空に逸らした事で出来た隙を逃さず、俺は剣を振るう。
剣は魔王の胸部に当たり、胸部の鎧を打ち砕く。
「ぐがっ‥」
魔王が片膝をつく。
その魔王に剣を持った宙に浮いた腕が襲いかかる。
剣は魔王の両腕を斬りつけ、魔王は持っていた剣を落とす。
胸部のダメージが効いているのか、動きが鈍い。
俺はエンチャント:英雄たる者を発動させ魔王に斬りかかる。
魔王は後退しようと足に力を込めた瞬間にその身体に雷を受ける。
ナイスあやめ!
雷を受けても普通に動けるのは鎧の性能が高いからだとは思うが、受けた瞬間は身体が硬直して動きが止まる。
俺はその隙を逃さず剣を横薙ぎに振るう。
魔王はかろうじて腕を交差させて剣を受けるが、そのまま吹き飛ばされるように地面を転がる。
ふらつきながらも立ちあがろうとした魔王の前に光り輝く剣を構えた正人が立っていた‥
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