第830話

「わかりました。ですが王様が元高ランク冒険者だったとしても何があるかわかりません。俺たちもどこまで護れるかわからないので、護衛をつけます。」


俺はスキル【創造】を使う準備をする。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。それはもしかしてイェルンの護衛につけた、あの手が沢山あって火薬筒のような物を身体に巻き付けている人形か?」


え?

そうですけど何か?


「はい。俺たちはヨエクとその手下と戦うことになります。ですから王様の護衛は鉄人形殲滅アシュラ君バージョン改に任せようと思ってます。」


「い、いや。で、出来れば護る事に特化した物でお願いしたい。」


「‥‥‥‥わかりました。」


「な、なぜ不服そうなのだ‥」


だってどうせ創るなら敵を全て薙ぎ払うような男のロマンが詰まっている素晴らしい物がいいじゃないですか!


あ、ミミウが鼻をスンスンしてる‥




しょうがないので鉄人形アシュラ君バージョン鉄塊を作製するか。


かっこよく名前をつけたけど、鉄人形につけたアシュラ君の腕全てに鉄製の盾を持たせるだけなんだけどね。


でも人ひとりくらいだったら包み込めば銃弾も弾けるだろうしな。


鉄人形は修理するだけでいいし、アシュラ君も既存のものがあるから鉄製の盾を作ればいい。


これなら殆ど魔力を使わずに作成できるから、この後に支障が出る事もないだろう。



俺は『スペース』から肉塊に踏み潰された鉄人形を取り出す。



「『創造:鉄人形』」


潰された鉄人形が、まるで逆再生のように人形の姿に戻っていく。


「あとはこれに‥」


俺は鉄人形にアシュラ君を装着させる。


鉄人形自体は魔力を持っていないので、アシュラ君の動力も鉄人形と同じで空気中の魔力を取り込んで動くように作り替えている。


「よし。それじゃあ仕上げだ。『創造:鉄盾』」


次々と大きな鉄の盾を創造していく。


計6個の鉄製の大楯を作り上げる。


そしてそれを鉄人形のアシュラ君に持たせていく。


「王様はあまり無理されずに、この鉄人形と行動をともにするようにして下さい。基本俺たちの誰かが護るつもりではありますが、全員が敵と戦う場合などもあると思いますからね。よろしくお願いします。」


「ああ。すまない、感謝する。しかし‥これはこれで威圧感が半端ないな‥」


そうですかね?

確かに大きな鉄盾を6つも持っていると動く要塞みたいだしな‥


「それじゃあ行きます。向こうは今日来るとは思ってないかもしれませんが、戦力の準備はしているはずです。くれぐれも油断しないように行きましょう。」


「ああ。頼んだぞ。」


俺は頷きパーティのみんなを見る。


「じゃあヨエクにお仕置きしに行くぞ。」


「「「おーっ!」」」


俺たちはギルドを出発してヨエクの屋敷に向かい歩き出した。






「マルコイさん達はそろそろ出発しましたかね?」


「時間的にそうでしょうね。俺たちも急ぎましょうイェルン宰相。」


「ええ。マルコイさん達がヨエクから王座を取り返すのは、私達の働きにかかってますからね。」


イェルンは近くにいるルパートに声をかけた後に、自分の前を進む黒鉄の人形を見る。


「そ、それにマルコイさんが準備してくれた護衛も役に立ってますからね。」


「確かにそうですね。どちらかと言うと、中立派の貴族は私の言葉というよりも、その人形を見て我々につくと言っている気がします‥正直自分は要らなかったんじゃないかと思い始めてます‥」


アザウア伯爵は少し涙目になりながらそう告げる。


「そ、そんな事ないですよ。」


「ですが、装備している火薬筒を1発放っただけで、説得しようとしている貴族の屋敷と護衛を吹っ飛ばしましたよ。彼は仲間になるから命だけは助けてくれと言ってきましたし‥」


「た、確かに吹っ飛んでいましたが‥あ、あれは彼が敵対行動を取ったのが不味かったんだと思います。私もこの人形の琴線がどの辺にあるのかわからないのです‥」


「そんな物を何故護衛にしているんでしょうか‥?」


「それはですね‥断れませんでした‥」


イェルンとアザウア伯爵、ルパートの3人は自分達の前を歩く鉄人形を見ながら大きなため息をつくのだった‥








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