第318話
「はい。実は商人としてご相談にあがりました。」
「そうですか。ここでは受付の邪魔になってしまうといけませんから私の部屋でお聞きしましょう。」
あ、さっきの邪魔だって言われた事を気にしてる‥
「そうですね。たまには自室で仕事していただけると助かります。」
さっきまで楽しそうに話をしていた受付の人から辛辣な言葉が飛ぶ。
あ‥
ポッサムさんまた涙目になってるじゃないか‥
俺たちは少し寂しそうな背中をしているポッサムさんに続いてポッサムさんの自室に向かった。
「それではそちらの椅子に腰掛けて下さい。」
俺たちはポッサムさんの部屋に入れてもらい、椅子にかける。
「それで、ご相談というのは?」
「はい。先程も申し上げましたように商人として相談に参りました。」
「エッケン殿のお手紙に貴方達の素性は書かれてありました。今ロンギルでも出店していただいているホット商会の会長さんだそうですね。それで相談内容とは一体どのような内容でしょうか?」
「はい。私共ホット商会はここセイルズで新しい商いをさせていただこうと思っています。それには海の一画が必要になります。おそらく国が管理されている場所になると思いますが、その一画を購入する事ができるのか確認させてもらいにきました。」
目を閉じて頷きながら聞いていたポッサムさんが話を聞き終えた後、少し時間を置いて話し出した。
「1つ質問ですが、マルコイ殿はナイコビ商会の事はご存知ですか?」
この質問は探りを入れられているのか?
しかし嘘をついてもしょうがないしな。
「はい。正直な事を言うと、うちの商会に何度かちょっかいを出されてます。」
しばらく沈黙するポッサムさん‥
「なるほど‥マルコイ殿は現在のセイルズの状況を知りながらあえてこの国で商いをされようとしているのですね‥わかりました協力しましょう。ただし土地に関しては国の持ち物になります。なので買い取りしていただくわけにはいきませんが、貸し出しという形なら構いません。後で契約書を作成しますが、その土地代のお支払いをやめない限りその土地は使ってもらって結構です。」
買い取りは無理だったか。
しかし金を払い続ける限りはホット商会の土地だと認識してよさそうだな。
ポッサムさんが好意的でよかった。
紳士同士だったのがよかったのかな。
「正直な話をしてしまうと、これ以上ナイコビ商会に大きくなられると困るというのが現状です。これ以上大きくなれば、その後は国の政治に入ってこようとするでしょう。この商人の国でただ1つの商会が全ての商会を把握する事になれば‥それは新たな国王が生まれるようなものです。しかしそれを阻止する手段がなかった。なので今回のホット商会の申し出については全面的に協力させてもらいましょう。」
そう言われればそうだな。
もしかしてナイコビ商会の狙いなんかはその辺にあるのか?
それはさておき土地を貸してもらえるのは助かる。
「わかりました。ありがとうございます。それでは土地の選定等が決まり次第ご報告させてもらいます。」
「そうして下さい。こちらも人員を派遣して、その土地に問題がないようであれば契約書を作成させてもらいます。ちなみにその土地で何をするかをお聞きしても?」
「別に構いませんよ。選んだ土地で海苔を人工的に作ろうと思ってます。時間はかかりますけど、この街の特産品になればなんて思ってます。」
「ほう!あの乾燥した海苔を人工的に作りだすと?しかしそれでもあの見た目が不衛生な物が売れますかな?」
さすが商人の国の人だな。
キリーエも言っていたが売れる売れないには敏感なようだ。
「大丈夫です。その辺の工程は秘密になりますが、売り出す時には綺麗な物を売るつもりですから。」
「ほほう。それは大変興味深いですな。マルコイ殿は商人としても優秀なようだ。これから末永くお付き合いさせてもらえばと思います。何か困った事があればいつでもご相談ください。」
ポッサムさんは今いろいろな事を考えているのだろう。
セイルズにとって1番いい方法を。
セイルズにとって害と思わなれなければ味方になると思っていいのかもしれないな。
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