第908話

次の日、早速正人たち勇者を集めて装備を渡す事にする。


その場で渡してもよかったが、使い勝手などを確認するために少し街から離れる事にした。


「さて、この辺でいいだろ。」


多少暴れても問題なさそうな場所に到着した。

まあアキーエさんが一緒ならこの程度の距離など問題ないのだが‥

今回はアキーエさんはキリーエの護衛についてるので、別行動だから大丈夫。


キリーエは情報収集で結構派手に動いたらしく、もしかしたら頭の足りない奴らに狙われるかもしれないので念のためだ。


問題はアキーエさんがやり過ぎないかどうかってところだな。

まあキリーエが一緒だから多分大丈夫だと思う。


無理なら獣王様に泣きつこう。


「ついにマルコイ殿の魔道具のお披露目ですか!楽しみですなっ!」


アキーエさんとミミウさんはついてこなかったのですが、何故かアレカンドロさんとリルさんは当たり前のように一緒にいます。

何でも俺の魔道具を装備した正人たちと戦いたいそうだ。


魔道具壊されないか、ちょっと心配‥


いざとなれば魔道具の勇者を投入するしかあるまい。

涙目のラケッツさんには申し訳ないが、俺は痛い思いをしたくないのでよろしく頼む。


「さてまずはあやめと恵の装備だな。」


俺は赤と白を基調とした槍と、真っ白な杖を取り出す。


「あやめには槍だ。今まで使ってたやつと同じくらいのサイズだから扱いは大丈夫だろ。」


あやめが槍を受けとり使い勝手を確かめる。


「ありがと。見た感じ普通の槍っぽいけど、普通じゃないのよね?」


「そうだな、その槍は『電気ビリビリ赤槍君』だ。魔力を流すと槍の先端に雷を発生させる事ができる。そのまま突き刺してもいいし、雷の様に落雷させることもできる。」


「へ?」


あやめの顔が面白い事になっている。

爆発しないので面白味はないが、強力な武器なのは間違いない。


「試しに魔力を込めてみろ。」


あやめは『電気ビリビリ赤槍君』に魔力を流す。


すると魔力に反応して槍の内部で雷を発生させる働きが生じ、先端に稲光が発生する。


「とう!」


あやめは近くにあった木に槍を突き刺す。

すると木は雷に打たれたように光が走り、そのまま炎上した。


「す、凄いわね‥でも落雷って上から落とすのよね?あたしじゃ使えないんじゃないの?」


「それは大丈夫だ。」


俺は今度は白を基調にして、赤い線が入っている鎧を取り出す。


「この鎧は背中に『羽根人形』を収納している。魔力を流せば鎧の背部に羽根が生えるから、それを使って飛ぶ事ができるから。」


参考にしたのはアレカンドロのスキル【聖鎧闘士】だ。


空中で戦う事ができ、アレカンドロの様に斧を投げることは出来ないが、地上に対して雷を落とす事ができる。


なかなか凶悪な装備だと思う。

爆発しないのが残念でならないが‥


「と、とんでもないわね‥ありがとう。早速練習してみるわ。」


「おお!あやめ殿!自分と模擬戦をしましょう!」


「えっ!ちょ、ちょっと待って。まずは練習してから‥」


「はっはっは!実戦に勝る練習はないですぞ!はっはっは!」


うむ。

がんばれあやめ。

死なない程度の手加減はしてくれると思うぞ‥


「マルコイ様!」


恵が両手を出して期待した目でこちらを見ている。


「恵は聖女で、後衛だからな。とりあえず消費魔力の減少、魔法効果範囲の拡大、魔法強化をつけた杖だ。今までの回復魔法に使ってた魔力の半分くらいでかなりの効果が得られると思う。」


「マルコイ様、ありがとうございます!これを使ってマルコイ様のサポートをさせてもらいます!」


いや、お前がサポートするのは正人たちなんだが‥


「あとは鎧だな。」


俺はローブに軽装の鎧が装着してある、白の衣装を取り出す。


ローブの背中には6枚の花びらのような物ついている。


「このローブは耐刃、耐魔法防御とか色々つけてるけど、1番の特徴は背中につけた6枚の魔石板だ。」


このオリハルコンでできた魔石板にはラケッツさんの武器を応用したものになっている。


ラケッツさんの『広範囲迎撃用決戦魔道具』のように、自動で敵を攻撃するのではなく、それを防御に回したものだ。


オリハルコンの魔石板には物理攻撃と魔法攻撃用の障壁を張れるようにしている。


あやめは『堅牢』があるからいいが、恵は自身を守るスキルがなかったからな。


「これで後衛まで攻撃が来たとしても問題なく防げるはずだ。」


恵は杖とローブを両手で抱えて、潤んだ目でこちらを見ている。


「ああ‥マルコイ様の私に込めた愛が感じられます‥この『ラブコレクションズ』を装備して、マルコイ様のために戦います!」


えっと‥

そんな名前じゃなかったんだけど‥


ま、まあいいや。

気に入ってくれて何よりだ。


さて、あとは‥


「次は正人様の番ですね!」


ベアトリスさんが正人を見ながらそう告げる。


そうです。

次は正人君の番です。


ふっふっふ‥

正人よ!

ベアトリスさんの前で大いに恥をかくがいい。

滅殺せよ、人生謳歌者!






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