第755話
「突然どうしたのミミウ?城の外で待ってると思ってたのに。」
アキーエとキリーエが走り寄ってきた。
「お腹が空いて何か食べたいと思ったらここにいたですぅ。」
ミミウ自身も顔にいっぱいご飯粒をつけて不思議そうな顔をしている。
おでこにご飯粒がついている方が俺としては不思議でならないのだが‥
「あちゃ。かなり多めに食材置いとったんやけど、足りひんかったか。ごめん、うちのミスや。マルコイさんと合流したら一旦ミミウにご飯届けに行こ思ってたんやけど、思ってたより時間がかかってしもたわ。」
なるほど。
それじゃあキリーエがミミウの所に行けなくなった原因を作った奴が悪い。
「アキーエ。ところでこのいかにもな襲撃者さんたちは何者?」
「う〜ん‥わたしもよくわからないのよね。ギルドから宿に戻ってきたら、いきなり絡まれて。それでお帰り願ったら今度は大人数で襲ってきたのよ。」
お帰り願ったの辺りで目が泳いだぞ。
なるほど。
とりあえずイチャモンつけてきた奴をお土産付きで追い払ったわけか。
それはイチャモンつけてきた方が悪い。
爆殺女神に粉かけて命があるだけよかったと思わないと。
その人生きてる‥よね?
「ふ〜ん。とりあえず絡んできた奴をアキーエがぶっ飛ばした事については後で聞き出すとして、そいつは何て言って絡んできたんだ?」
「ぶ、ぶっ飛ばしたわけじゃ‥ま、まあ近いけど‥わたしがギルドの調査を終わって戻ってきた時に、ここにしばらく滞在しろって言ってきたの。たぶん王様を捕らえるまでの間、誰も国を行き来させたくなかったんだろうけど。」
「なるほど。それで断ったら襲ってきたのか?」
「う、うん‥」
何か歯切れが悪いな‥
「絡んできた奴やけど、アキーエちゃんと事を女やからとバカにしてきたんよ。女のくせにとか言ってね。」
ぬぁ〜にぃ!
「それはしょうがない。ぶっ飛ばして正解だ。相手生きてたんだろ?それだけで大した物だ。」
「もう!マルコイはわたしの事を何て思ってるのよ!」
え?
触れたら爆発する危険物取り扱いのスキルが必要なくらい危険な爆殺女神かと‥
「それにその人、自分の鎧に傷をつけられなかったら靴舐めろまで言ってたさかい、アキーエちゃんか怒るのもしゃーないわ。」
「なんだと!そんな事まで言いやがったのか!どいつだ?ちょっと一言いってやる!」
俺は埋まっている男の足を掴み引っ張りだす。
「アキーエこいつか?」
「いやいやマルコイさん。絡んできたやつはアキーエちゃんがしっかりどついてたから、ここには来とらんと思うわ。」
ちっ!
残念‥
「あっ!」
アキーエが俺が引き上げた男を見て声を上げる。
「どうしたアキーエ?」
「この人‥ギルドの調査してた時に絡んできた人だわ‥」
ぬぁ〜にぃ!
でもアキーエ君、君よく絡まれてるね。
「どうする?とりあえず回復させた後に殴り倒すか?」
「いやね、そこまで酷い事しないわよ。」
「うっ‥」
お?
男が気がついたようだ。
「な、何が起こったんだ?なっ!お、お前は!やはりお前の仕業だったんだな!」
男はアキーエを指差して何か言っている。
「違うわよ!いや、違わないのかもしれないけど‥」
「く、くそっ!この化け物め!お前のようなやつが入り込んでるとは!王のためにもお前は排除しなければっ!」
「また化け物って‥」
アキーエががっくりと項垂れている。
アキーエは化け物なんかじゃない!
ちょっと火力が高くて、自制心が低い女の子だ!
「ヨエクの味方は俺の敵。アキーエの敵も俺の敵。俺のアキーエを化け物呼ばわりするお前も俺の敵だぁ!」
俺は男の足を持ったまま、その場で回転して男を放り投げる。
男はそのまま飛んでいき、遠くの建物に何度かぶつかって見えなくなった。
うむ。
成敗!
「それじゃあお互いの情報を擦り合わせるために何処かで話をしよう。」
「わかったわ。ありがとうマルコイ。」
どこか上機嫌になったアキーエがそう返事した。
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