第231話

闘技会の準決勝から数日たった。

俺はイザベラが来た翌日には冒険者ギルドに魔族の報告を行い、後は闘技会からの通達を待った。


その後すぐに闘技会から連絡があったが、決勝の開催については未定との事。

ガルヘアが魔法撃ちまくって壊した観客席やら闘技場なんかが修繕するのに物凄く時間がかかるらしい‥


今まで闘技会の開催を延期や中止にした事はなかったのであるとは思いますと闘技会関係者の人に言われた。


でも街では今回の大会はこのまま終わるんじゃないだろうかと噂されてる。

しかも魔族を倒した俺が優勝だみたいな感じで。

魔族が現れた時にいた人たちは全員逃げてて、俺が魔族を倒した所を見たのは一部の人だったと思うけど何故?


しかし決勝があるかもしれない状況でどこかに行く訳にもいかず何もする事なく家でボーっとしている。

もちろん訓練はしてるけど。


特に今すぐ旅に出る予定もないので獣人国にいる時間が長くなっても特に問題はないのでいいのだか、

遠出の依頼を受けたり出来ないのでストレスが溜まる‥


今日も今日とて地下室でアキーエと訓練している。

もちろんガントレットなしです。

ガントレットしてたら家壊れるし、俺が壊れますから。


朝から訓練をしていてそろそろ昼ごはんだから終わろうかとしていたら、キリーエがやってきた。


「マルコイさん。なんやお客さんが来とるよ。模擬戦がどうとか言ってるけど‥」


ま、ま、ま、まさかバラックスさんでは!

ついにバレてしまったのか?

いやしかしバラックスさんは俺が言った気合で新しい技を発見できる事を信じて今も精進しているはずじゃなかったのか?


俺は思わず階段を駆け上がり玄関から外に出た!


「おおっ!お主がマルコイ殿かっ?是非手合わせを願いたい!」



玄関にはフルフェイスの兜を被った鎧姿の人が大きな戦斧を担いで佇んでいる。




ん〜‥‥‥‥





だれ?





「確かにマルコイですけど、どなた様ですかね?」



すると鎧男は戦斧を振り回しながら自己紹介を始めた。


「自分はロンギル共和国を主戦場として渡り歩いておる傭兵団『アウローラ』で第4師団副団長をしておるアレカンドロと申す!闘技会で名を馳せたマルコイ殿と是非一度お手合わせを願いたいと思い馳せ参じた所存である!」


う〜ん。

うるさい‥

声がデカイし斧回してて鎧がガチャガチャ音が鳴ってるしとにかくうるさい‥

そして肩書きもよくわかんないし‥


「たぶん共和国で活動している傭兵団で自分たちのっていうか自分の名を売りたいんやと思うわよ。」


キリーエが俺の側に来て教えてくれた。



うっ‥

正直言ってめんどくさい‥


名を売りたいならリュストゥングのおっさんのところに行けばいいと思うんだけど‥


「マルコイさんは魔族を倒したって噂されてるけど本当かどうかは知られてない。でもそのせいで名前はすごい売れてて、リュストゥングさんみたいにSランクとして強さがはっきりしている人よりも挑みやすいと思われたんやないかな?」


舐められとるなぁ‥


でも‥


「マルコイ。1回目で逃げたら有る事無い事噂されるわよ。逃げだとか臆病者とかいろいろね。」


なるほど。

ん?

1回目?

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