第324話

遊具の原案を出してしばらく経ったが、さっそく遊具が売りに出された。


今回売りに出したのはジェンガと飛び出す人形のおもちゃだ。

リバージについては遊び方が他の遊具より少し難しいため前2つの売れ行きをみてからとなったらしい。


それに小出しにした方が売れるだろうとの事。


飛び出す人形については『商人大脱出!』というゲームになったらしい。

危機一髪的なゲームだけど、わざわざ異世界の名前に合わせる必要もないからな。


もちろんバネは弱くしており、かなりの回数壊れないか試したらしいので安全面は大丈夫だろう。


値段も一つ一つ手作りのため多少は高めにはなったが、一般の家庭でも買えない値段ではないため子供にねだられて買っていく人が多数いた。


どちらか一つ買うところもあれば両方買うところもあった。

しかし片方買ったところも後日もう一つも買うところが多かった。


爆発的に売れてかなり生産してから売りだしたが、供給が間に合っておらず、ホット商会は嬉しい悲鳴をあげているようだ。


もちろんキリーエも大忙しで、護衛している俺たちもキリーエと共に行動するために毎日どこかに出かける始末だった。



「今まで複数の人数で道具で遊ぶって事があんまりなかったからな。おそろしく売れてるな。」


「そうやね〜。結構手先が器用な人じゃないと作れないから、生産が間に合ってないんよ。でも本当によく売れとるわ。ジェンガについては真似する商会もあるかもしれないけど、『商人大脱出!』の方はマルコイさんが作り方教えてくれたからええけど、普通に真似するならかなりの技術がいるからね。まだまだこの市場はホット商会が独占するよ。リバージも販売する予定やしね。」


リバージ作成に手をつけており、個数が確保できてから説明書と一緒に販売するそうだ。


2つの遊具で面白いと認識してもらった今なら多少難しい物をだしたとしてもホット商会の遊具なら面白いはずと売れる事になるだろう。


「ところでキリーエ。今日は他にも行くところはあるのか?」


時間はお昼を少し過ぎたところだろうか?


「そやね。もう一件あるんやけど、とりあえずご飯食べて行こうか?今日はフライを出していた店でマルコイさんに教えてもらった『タルタルソース』を出す事になってたから、ちょっと試食に行ってみない?」


おお!

タルタルソースも出す事になったか。

異世界の人は好き嫌いもあるようだが、フライにはタルタルソースをつけて食べるらしい。


実際俺も作って食べてみたが、おそろしく美味かった。

そしてまたしてもフーラさんに神認定されてしまった‥


フーラさんのお店が近かったため中に入る。


中に入って席に着くと、さっそくフーラさんがやってきた。


「キリーエさま、神様。今日はよくいらしていただきました。ご注文はフライでよろしかったでしょうか?」


「そうやね。フライのタルタルソース付きをお願いするわ。」


いや俺の呼び方神様なんだけど‥

そこは無視なのね‥


「承知いたしました。すぐに作って持って参ります。」


フーラが厨房に戻り、席で待っていると別の席から大きな声が上がる。


「すいませんお店の人!」


店の店員さんが慌てて声を上げた男性2人組の元に行く。


「どうされました?」


「いやどうされましたって、これ見てもらえませんか?食事の中に虫が入ってるんですけど?」


店員さんが皿を覗くと驚いた顔をしている。


確かにここから見ても虫が入っているように見えるな。


あれだけ大きな虫が入ってて気づかないなんて事はないだろうから、後から入れたかな?

店に因縁つけてタダにしてもらったりするのが狙いか?


「出されたのが俺達だったからよかったものの普通だったらとんでもない事になっていたよ。とりあえず話をしたいから店長さんを呼んでもらっていいかな?『カッカス』の者が料理の件で呼んでるって言ってもらえるかい?」


お?

釣れたかな?

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