第395話

「マルコイ神様!」


「は、はい!何でしょう?」


「マルコイ神様!そのお肉はどうやったらタルタルソースにあいますか?」


え?

どういう事?

普通は料理にあう調味料を考えるべきなんだけど、お肉の方をあわせないといけないのね‥


でもお肉とタルタルソースといえば‥


手に持つのはドラゴンのもも肉。


となれば作るのはチキン南蛮ならぬ、ドラゴン南蛮だな!


ドラゴンの皮は流石に煮ても焼いても揚げても食べる事が出来なかった。


まあそりゃそうだよね。

最高クラスの装備品に使うような素材を食べようとすること自体が間違ってる気がする‥


ドラゴンのモモ肉を食べやすい大きさに切る。


塩胡椒を振って小麦の粉をまぶす。


それを溶いた卵に潜らせて油で揚げる。


このままでも涎が出そうなくらい美味そうだ。


あ、ミミウさんはもちろん滝のように涎が出てますよ。


別の鉄鍋で醤油と砂糖それに酢を温める。


この酢も米ができたから作れるようになったんだよな。


米に感謝です。


揚げたドラゴンの肉に甘酢をかけてフーラさんが持ってきたタルタルソースをかける。


ドラゴン南蛮の完成だ。


ミミウはもちろんフーラさんにも皿を渡す。


「これがフーラさんの希望したタルタルソースにあう肉料理だ。本当は鳥のモモ肉でするのが正しいんだけど、今回はドラゴン肉があったから代用してみた。」


代用で使っていいような肉じゃないけどね。


「それじゃあどうぞ。」


ミミウとフーラさんが勢いよく食べ出す。


アキーエやアレカンドロも皿を持ってこちらを見ている。


「ほら2人とも皿に乗せるから持ってきて。」


2人とも笑顔で駆け寄ってくる。


アレカンドロがお尻の尻尾をぶんぶんと振っている。


犬か!


確か牛族だったよね?


キリーエはもちろん俺の横で何やら計算してらっしゃいます。


「ドラゴンの肉で作るとコストが‥でもマルコイさんは鶏肉でと言ってたから、鶏肉で作るとなると肉の卸しはあそこで、小麦は‥」


あ、もう店に出すのは決定なんですね。


「こ、これはっ!」


するとドラゴン南蛮を食べたフーラさんが突然大きな声を上げる。


物静かな女性と思っていたけど、最近ちょくちょく大きな声を出すな。


タルタルの伝道師になって少し性格変わってきてないか?


はっ!

もしやタルタルの伝道師は実はスキル【タルタルの伝道士】で【狂戦士】と一緒で人格にまで影響するスキルだったとか?

それにフーラさんは体型もマッチョになっていた。

肉体的にも強くなれるスキルだったりするのだろうか‥


「マルコイ神様!こ、この美味しさはフライにタルタルソースをかけた時並の衝撃です!やはりマルコイ神様‥タルタルの可能性を少しでも覗けたと思っていましたが、まだまだマルコイ神様の足元にも及びませんでした‥」


タ、タルタルの可能性‥?


「この料理はタルタル神のタルタル南蛮として私がこの世界に広めていきます!」


いやもうタルタル言い過ぎて何の料理かわからなくなってますけど!


てかタルタル神って誰のことですか!?


「ありがとうございます!この料理に出会えただけでわたしはここに来た甲斐がありました。」


「そ、そうですか‥」


「はい。マルコイ神様はわたしにタルタルを教えてくださって産まれてきた意味を与えてくれたというのに、更にこんな料理まで教えていただけるなんて‥」


いや、君の産まれた意味ってタルタルと出会うことだったの!?


「そ、それはよかったね。」


「はい!」


満面の笑みでそう答えるフーラさん。


できればメニュー名は再検討してほしいと思います‥


ちなみにドラゴン南蛮は噛んだ瞬間に肉汁が口の中に広がり、肉の脂身の甘さとタルタルソースの酸味が絶妙な旨味となり美味しかったです。

ただ皮が無かったので少し物足りなさを感じましたとさ。

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