第302話

オークたちの死骸を片付けた後にセイルズに戻った。


傭兵団『アウローラ』の拠点に移動して話をする事になったためだ。


団長室に入りソファーに腰掛けて話をする。


「それでとりあえず何から聞きたい?」


「そうだな。まずは食事が美味しい宿と近場に美味しい食事を出す店を教えてほしい。」


「いや、ナイコビ商会の事とかいいの?」


「今日は疲れてるし、そっちも死者が出てるんだ色々と忙しいだろう?」


「そうしてくれると助かるが‥わかった。それじゃあ美味しい食事を出す宿だが‥」


いくつか提案してもらったので、今からそれらの宿に行ってみる事にした。


「どれくらいしたら落ち着きそうかな?」


クワイスは暫く考えた後に答えを出す。


「そうだな落ち着いてからとも思ったが、できれば君たちには早めに情報を伝えておきたい。今の俺たちでは『カッカス』が手を出してきたら防ぎようがない‥抑止力として君たちの力を借りたいと思っている。」


「うーん‥抑止力ね。確かに俺たちはキリーエを狙ったのがナイコビ商会だったとしたら『カッカス』を潰したいと思ってる。でも4人だからどこまでできるかわからないから助力を願いたいとは思ってる。」


すると何故かクワイスは不思議そうな顔をしている‥


「マルコイさんすまない。少し意味がわからないのだが‥」


「ん?どの辺がかな?やっぱり4人で『カッカス』に喧嘩を売るなんて無謀過ぎるか?」


「いや‥‥俺が言いたいのは君達なら『カッカス』なんて目じゃないと思うんだが‥まあいい。」


ん?

『カッカス』はそんなに人数が多くないのか?

仮にも傭兵団だ。

その数は10や20じゃないはずだ。

たった4人でどうにかできるとは思えない。


「とにかく君達がナイコビ商会と敵対すると言うのなら早めに情報は渡しておきたい。今日は無理としてもそちらの準備が整い次第、ここに来てくれて大丈夫だ。俺達もしばらくは依頼を受けたりは出来ないからここから動くことはないからな。」


「わかった。それなら俺たちも拠点になる宿を決めたら明日にでも伺うとするよ。」


「わかった。すまないがお願いする。」


俺たちはクワイスに礼を言って部屋を出る。


「マルコイ殿!」


部屋をでたらアレカンドロがいた。

部屋の外で待っていたようだ。

物すごい勢いで駆け寄ってくる。


う〜む、アレカンドロのお尻に尻尾が見える気がする‥

まるで猫のようだ。

かなり大きめな猫だが‥


アレカンドロって牛族じゃなかったっけ?


念のためにエンチャント:土でこっそりと防御力を上げる。


「マルコイ殿!団長とのお話は終わりましたか?」


するとアレカンドロは俺の一歩手前で止まって話し出した。

何故か横にいるアキーエがはらはらしている。


「ああ。待ってたのか?すまないな、何か用事があったか?」


「いえ、用事というわけではないんですが、団長に宿や食事処を尋ねていたでしょう?なので自分が直接ご案内しようと思いまして!」


「それはすまないな。確かにここには来たばかりだから案内があると助かる。しかしアレカンドロは『アウローラ』を離れて大丈夫なのか?


「はい!団長に許可ももらいましたし、出来れば頑張れって言われました!もちろん頑張って案内しますけど、案内するのに頑張れっておかしいですよね?」


確かにそうだな。

道に迷わないように頑張れって事なのか‥?


「くぅ‥アレカンドロは大丈夫って思ってたのに‥確かにあんな助けられ方したら誰でもそうなるわよね‥」


アキーエが何かぶつぶつ言っている。

聞き取れないけど、顔は真剣な表情だ。


「とにかく自分たちはここに拠点を構えて長いので色々とご案内する事ができると思います!まずはどちらから行きましょうか?」


「助かるよ。それじゃまずはここでの拠点になる宿を探しに行こうか!」


俺たちは5人でセイルズの街に繰り出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る