第301話

「そ、そんな事でいいのか?メンセンが負っていた傷を回復させるポーションなんてかなり高価な物だと思うのだが‥」


「構わないよ。今の俺たちに必要なのはポーションよりも情報だからな。さっき言った事に対して有益な情報を教えてくれたら十分な価値がある。」


多分大丈夫。

後でキリーエに値段の事聞いてみるけど、多分大丈夫‥

のはず。


「わかった。すまない。しかしなぜナイコビ商会の事を聞きたがるんだい?俺たちもこうして世話になったし、アレカンドロの件もある。教えるのはやぶさかではないのだが、一応理由を聞かせてもらってもいいだろうか?内容よってはもしかしたらポーションを買って返さなくてはいけないかもしれないから。」


あれ?

アレカンドロから聞いてなかったのかな?


「別に大した理由はないよ。売られた喧嘩を買いにきただけだ。ただ買わせてもらう相手がはっきりしてないんでね。予想ではナイコビ商会とカッカスなんだけど確証がない。でも獣人国にいてもわかりそうになかったんでこっちまで来たんだ。」


「ナイコビ商会が?確かにナイコビ商会なら邪魔になりそうな相手ならたとえ国外でも手を出しそうだが、なぜナイコビ商会だと思うんだ?」


「ああ、それはうちのパーティでホット商会をやっているからだ。」


「は?ホット商会?あの最近ロンギルにも出店してきたホット商会?食べ物がすごく美味しいホット商会?冒険者がホット商会?」


ご説明ありがとう。


この人めちゃくちゃ口開いてるけど大丈夫か?


あ、虫入った。


「アレカンドロは知ってたと思うけど?」


「はい!そんな話を聞いた気がするしますけど、忘れました!でもキリーエ殿が狙われているってのは聞きました!それに関しては覚えてましたが、他に言う事を口止めされてたので言いませんでした!」


あ、確かに他の人には言わないでくれって言ってたな。


「わかった‥うちとしては君みたいな人がナイコビ商会と敵対してくれるというならいくらでも情報を渡そう。それにうちが雇われている商会にも話を通そう。あと宿屋の件だが‥それはとりあえずセイルズに戻ってからでもいいか?」


「もちろんだ。あとセイルズは港町だから魚料理の美味しい店も教えてくれよ。」


「了解した。あとは‥」


クワイスは辺りを見渡した。


「あとはこのオークの死体をどうするかだな‥」


そうだった。

さすがにこの数のモンスターの死体をそのままにしていったら腐ってここら一帯が死の荒野みたいになってしまうな‥


「幸い死体はここら一帯に集まってる。デカい穴を作るから、そこに入れて焼こう。ミミウとアキーエ。お願いしてもいいか?」


「わかったわ。」「わかったですぅ。」


「それじゃあ穴をミミウが作るから、傭兵団の人たちは穴にオークの死体を入れるのを手伝ってくれ。」


ミミウがノームに手伝ってもらって大きな穴を作る。

そして傭兵団と俺たちで穴にオークの死体を運んだ。


あとここでも空間魔法が役に立った。

穴の上にある空間を削り取って周りのオークの死体を引き寄せたのだ。


傭兵団の人たちがなんだそりゃみたいな顔をしていた。


スキルの事であんまり目立つのもアレだったが、空を飛んだり色々やったからな、今更隠してもしょうがない。


穴に全てのオークの死体を入れた後にアキーエが魔法で死体を焼いた。

何度か魔法を使ってもらう必要があると思っていたが、オークが脂が多いためかよく燃えたので大きな魔法一回で済んだ。


「こんなものかな。それじゃあセイルズに戻ろうか。」


俺がそう言ってクワイスを見ると、またしてもクワイスは面白い顔をしていた。


「き、君達に喧嘩を売るなんてナイコビ商会も馬鹿な事をしたよな‥」


するとアレカンドロも大きく頷いている。


何故か筋肉のおっさんも頷いている。


そうか?


でもナイコビ商会にはしっかりと借りを返させてもらうけどな。

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