第303話
「マルコイ殿!それでは宿に向かいたいと思いますが、どちらに行かれますか?」
「そうだな。クワイスさんには料理が美味しい高級な宿と庶民的だけど料理がうまくて量が多い宿を紹介された。だから‥」
俺はミミウを見る。
キリーエに『アウローラ』に使っていたポーションの値段を聞いたら目が飛び出る金額だった。
しかしキリーエは全然問題ないとの事。
パーティ資金にはまだまだ余裕があるようだ。
でも密かに『薬術士』を使ってポーションを作る決意をしたのは内緒である。
だから別に高級な宿に泊まっても大丈夫なんだけど、食事の事はミミウに決めてもらったほうが後悔しない気がする。
「ミミウ。さっきクワイスさんに聞いた宿だけど、どっちがいい?」
「ミミウは量が多い方がいいですぅ!あと高い宿は厨房が借りれないって言ってたですぅ。マルコイさんにご飯作ってもらえないのはダメなので2番目の宿がいいですぅ!」
質より量か。
てか質も庶民的ってだけで悪いわけじゃないしな。
高級そうなのは食べに行けばいいし、そっちにするか。
「わかった。それじゃあアレカンドロ。道案内頼めるか?」
「承知致しました!自分たちの知ってる最高の庶民的な宿『ツバメの憩い場』にご案内します!」
相変わらず声がデカい‥
悠然と歩き出すアレカンドロ。
しかしいつものフルフェイスの兜は装備していない。
「アレカンドロ。兜はこっちではしてないのか?」
「いえ、いつもはしてるんですが団長がマルコイ殿といる時は兜は外しておけと。確かに失礼ですからね!」
なるほど。
こっちではしてないのかと思ったが、そうではないらしい。
別に失礼にあたるとか、そこまで考えなくていいのに。
「くぅ‥クワイスさんはそのつもりのようね‥でも1番はわたしなんだから‥負けないわよ‥」
「アキーエちゃん‥大丈夫。うちはアキーエちゃんの味方やからね。」
「キリーエ‥」
何やらアキーエとキリーエが話をしている。
2人は高級な宿の方がよかったのかな?
「宿勝手に決めたけど、2人はよかったかな?」
「べ、別にいいわよ。」
するとキリーエはアレカンドロに声をかける。
「アレカンドロちゃんは今日は拠点に帰るん?よかったら一泊でいいから、うちらの宿に泊まらない?」
「別に構わないです!クワイス団長にも自分はする事もないので自由にしていいと。それでマルコイ殿と同じ宿に泊まるなら泊まってきてもいいと言われております!」
「ク、クワイスめ‥どこまで先を読んでいるの?」
アキーエがプルプルしながら何か言っている。
体調でも悪いのか?
「アキーエ大丈夫か?」
「べ、別に大丈夫よ。それよりも宿に行きましょう。」
「あ、ああ。」
何か俺の知らないところで何かが起こっている気がする‥
とりあえず宿に行き部屋をとった。
ふた部屋取り、俺がひと部屋で他の4人でひと部屋使うそうだ。
今日の食事は宿で摂る事にして、明日以降に食事処を散策する事にした。
俺は夜に冒険者ギルドに行く事を伝えた。
誰かついてくるかなと思ったけど、何やら大事な話があるそうで誰もついてきてくれなかった。
ちょっと寂しい‥
宿の食事は量も多く味も良くて満足できるものだった。
ミミウがもちろんおかわりをしまくって宿の人が忙しそうに駆け回っていた。
食べ終わった後に料理をしていた人にこれからしばらく厄介になりますと伝えたら少し涙目になっていた‥
食事をした後しばらくしてからアキーエたちに伝えて冒険者ギルドに向かった。
ギルドの前に着いたが、朝見た時よりも崩れ落ちそうな感じが増している。
入って大丈夫かな?
いざとなればエンチャント:土塊を使ったら自分の身くらいは守れるだろう‥
そう思いギルドの中に入る。
すると1人の男性がギルドの受付に座っていた。
「よう。昼間はすまなかったな。俺がここの冒険者ギルドのギルドマスターのスキャンだ。俺に用事があって来たんだろう?」
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